日本自然保護協会とWWFジャパンは、石垣島の白保地区で計画中のリゾートホテル建設に対する沖縄県の開発許可に、抗議声明を発表した。開発予定地の沿岸に世界最大規模のアオサンゴ群集があり、この海域は希少種を含む多様な種が生息するサンゴ礁生態系として、環境省が重要湿地に指定。国際的にも重要な生態系の一つとして位置づけられている。
抗議声明は、沖縄県知事・翁長雄志氏と、石垣市長・中山義隆氏の両名あてに出されており、日本自然保護協会とWWFジャパンは開発許可の撤回を強く求めるとしている。
声明文によると、サンゴ礁生態系の機能と生物多様性を健全に保全するためには、サンゴ礁が形成されている沿岸だけではなく、周辺の陸から海にかけての連続性や、地上から地下、海中の連続性が健全に保たれる形で、一体的に保全される必要がある。しかし、当該リゾートホテルの建設計画は、白保のサンゴ礁生態系に悪影響を与えることが強く懸念されるという。
サンゴ礁は最も脆弱で危機迫る生態系の一つであり、2010年に決議された生物多様性条約の愛知目標でも、その保全が締約国の各国に約束されている。2018年は3回目の国際サンゴ礁年でもあり、世界的な保全気運が高まっている。1980年~1990年にはサンゴ礁への空港建設を巡り、地域住民が主体となった保護運動が展開された場所でもあるという。
これらを受け、日本自然保護協会とWWFジャパンは、沖縄県と石垣市が国際的にイニシアティブを発揮しながら責任をもって保全すべき立場にあると指摘。2016年には気候変動と関連する異常気象によってサンゴ群衆が大きな影響を受けており、その責任はより大きくなっていると主張している。