政府は、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)による被災地の復旧・復興対策で、2018年度予備費から総額1058億円を使用する。8月3日の閣議で決定した。被災地の生活再建から生業の再建に向け、関係省庁が取りまとめた支援パッケージで、観光対策の必要経費等も含まれている。
国土交通省関係では、36億円を使用。災害救助法を適用した11府県(岐阜県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、福岡県)の被災地域への旅行需要を迅速に喚起するため、宿泊料金の割引支援と、日本政府観光局(JNTO)による被災地域の海外集中プロモーションを行なう。
このうち宿泊旅行の割引については、特に夏休みからシルバーウィークの需要喚起を念頭に置き、周遊旅行を促進。道後温泉や宮島、倉敷美観地区など、今回の災害における被害が少ないものの風評被害が生じる恐れのある地域で「二県以上・二泊以上」の宿泊をした場合に、岡山県と広島県、愛媛県では1人泊あたり6000円、その他の府県では4000円の割引支援を行なう。
また、飛騨高山や下呂温泉など、観光地の被害は少なくても、現地への幹線交通機関への寸断によって風評被害が生じる可能性のある観光地域では、代替的交通手段の活用による旅行を促進。当該地域に発着する代替え輸送を低廉な料金で提供する公共交通事業者やレンタカー事業者に対して、正規料金との差額を支援する。
経済産業省関連でも、観光対策関係で8.3億円が割り当てられた。中国地方等の魅力発信による消費拡大事業で、被災地域の復興と風評被害の早期解決に向け、データ分析や情報発信等に対する支援を行なう。
このほか経済産業省関連では、中小企業等のグループが計画した施設復旧等の費用に対する補助(401億円)や、商店街の災害復旧事業(20億円)、中小企業・小規模事業者の経営的課題解決支援を含む中小企業寄り添い方支援事業(3.4億円)などの施策も組まれた。