中南米専門の老舗旅行会社「ウニベルツール」が事業停止、リオ五輪後に業績低迷、6月のビザ免除が決定打に

中南米専門の旅行会社であるウニベルツールが2019年7月19日付で全業務を停止した。東京商工リサーチによると、負債総額は現在調査中。社長の渡辺淳二氏は「今後については事後処理を弁護士に一任している」とし、「ツアー申込者などは同業他社への振り替えを済ませており、一般顧客への被害はない」(同)という。

ウニベルツールはブラジルの旅行会社で勤務経験を持つ渡辺氏が1971年に設立。ブラジルをはじめ中南米地域を専門とする老舗として一定の知名度があり、個人旅行のほか法人向けの渡航手配やビザ申請代行も手がけ、大手商社などとも取引していた。2015年4月期には売上高約20億円を計上。2015年のサッカーブラジルワールドカップ、2016年のリオ五輪の開催などが追い風となっていた。

しかし、その後は中南米への関心が落ち着いたほか、現地の治安への不安から利用客は減少。厳しい経営が続くなかで、2019年6月17日よりブラジルへの一部ビザ免除措置が適用され、同社の主要事業だったビザ申請代行で売上が見込めなくなった。

最近ではサッカー日本代表も参加した「コパ・アメリカ2019」の現地発着ツアーも手掛けるなどしていたが、業況改善のめどが立たず資金繰りも限界に達し、6月末で新規の受注を停止。残務整理を進め今回の措置に至った。

同社サイトでは、7月17日付で社長の渡辺淳二氏による「閉店のご挨拶」を掲載。顧客、取引先、関係者に向けて閉店廃業の旨を記載している。

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