観光庁では、2020年5月から3回にわたり実施された「旅館への投資の活性化による『負のスパイラルの解消』に向けた支援のあり方に関する分科会」の議論を踏まえて、地域旅館産業の抱える構造的課題を解決するため、投資を呼び込んで生産性の向上を目指すスキームを報告書としてとりまとめた。今後、関係機関と連携した投資スキームを構築していく。
報告書では、地域の旅館の廃業は、地域経済に大きな影響を与えるため、その再生や新陳代謝の促進が必要と明記。マーケティングの欠如から旧来型の事業モデルから脱皮できず、赤字が続き、施設も老朽化していくという「負のスパイラル」を解消し、新型コロナウイルスを踏まえた新しい旅行ニーズに対応するためにも一定の投資が求められるとした。
そのうえで、地域連携の核となる旅館が地域全体を牽引する立場で新陳代謝の担い手となるために、新たな仕組みの創設を支援し(観光産業等生産性向上資金、観光遺産産業化ファンドの活用促進などを想定)、地域全体の生産性向上と高付加価値化を目指していく。
また、地域旅館の新陳代謝の促進に向けて、経営困難に陥る旅館に対し、債務の整理や所有と経営の分離をしたうえで、新規の設備投資を行う担い手(地域旅館統合プラットフォーム)を創設するとともに、地域の有力旅館を含めた意欲ある担い手に転貸し、地域旅館の再編を促していく。
さらに、地域旅館全体で、仕入れやマーケティングなどを一体的かつ効率的に行う「地域旅館共通機能プラットフォーム」を創設。新たな担い手と連携しながら、地域全体での生産性向上・高付加価値化を目指す。