KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、一般社団法人・渋谷未来デザインが参画するバーチャルシティコンソーシアム(VCC)は2022年4月22日、都市連動型メタバースなどを対象としたガイドラインをまとめた。
VCCでは昨年11月の発足以来、メタバースが経済圏として発展するために必要なルールや検討課題について、実在都市のまちづくり活動に携わる事業者や産官学の専門家を交えて研究会やワーキンググループを重ねていた。こうした議論をまとめて「バーチャルシティガイドラインver.1」を作成。同ガイドライン作成には、経済産業省と渋谷区もオブザーバーとして参加した。
発表の記者会見で、VCC代表幹事のKDDI事業創造本部副本部長、中馬和彦氏は、メタバースが注目されるようになった背景について「コロナ禍でオンラインゲームのSNS化が進んだことと、さらにウェブ3登場で、あらゆるデバイスから恒常的に、大勢がアクセスできる仮想環境を共有できるようになったこと」などを挙げ、新たな経済圏として急浮上したと説明した。
一方、2020年からKDDIが渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会などと展開している“プレ”メタバース空間、「バーチャル渋谷」での経験から、実在する都市のステークホルダーとの連携や、デジタルアセット所有権などの問題に対応するルール整備が急務と考え、ガイドライン作成にむけたコンソーシアム設立に至った。
中馬氏は「発展途上にあるメタバースに関する法律などは、世界的にもまだ整備が追いついていない。公的に発表されたガイドラインは、VCCのものがおそらく初めてではないか。まだ課題提起の段階だが、これが一つの叩き台になれば」と話し、今後、他の自治体やメタバース関連事業者との間で、活発な議論が進むことへの期待を示した。
著作権から肖像権まで
ガイドラインver.1は全30ページ。都市連動型メタバースに特化した内容と、メタバース全般を対象にした内容で構成されており、「クリエイターエコノミーの活性化」「UGC(ユーザー提供のコンテンツ)の著作権」「データ・デジタルアセット所有権」「アバター肖像権・パブリシティ権」などについて取り上げている。
ガイドラインに併せて、VCCでは「バーチャルシティ宣言」も発表。都市連動型メタバースの存在意義や、重視するべき指針などを明文化。「創作活動を促し、人の多様性を開放する」、「人の生活空間を拡張し、新たな経済圏を創出する」など計7項目を打ち出した。
2021年末までには、第二弾として「メタバース間の相互運用性」などの論点も含めた「ガイドラインver.2」をまとめ、VCCからの提言として発表する計画だ。
世界のデジタル・プラットフォーム発展は、これまで海外発で進んできたが、中馬氏は「コンテンツ大国である日本は、デジタル所有権の法整備など、メタバース経済圏のベース作りに世界に先駆けて取り組むべき。将来的には、グローバルな相互接続性について、海外のプレイヤーとも議論する必要がある。日本発のグローバルなメタバースのプラットフォームを作りたいという気概をもって取り組んでいる」と話した。