野村不動産と東日本旅客鉄道(JR東日本)は、東京・芝浦で進行中の大規模複合開発「芝浦プロジェクト」の詳細を発表した。
野村不動産が保有する「浜松町ビルディング(旧東芝ビルディング)」の建替事業で、同ビルとJR東日本の「東海道貨物支線大汐線用地」の計4.7ヘクタールの区域に、オフィスとホテル、商業施設とレジデンスで構成する高さ235メートルのツインタワーを建設。陸路と空路、水路の重要な結節点である同地に、東京湾岸部の新しいシンボルとなる国際ビジネスと観光拠点を創出する。
ホテルは、日本初となる仏アコーの最高級ラグジュアリーホテル「フェアモント」を誘致した。
また、人に寄り添い、居心地よく過ごせるまちづくりを目指し、最先端の技術とデザインを用いた設備を装備。自然との共生や地域のレジリエンスをテーマに、サステナブルな都市開発を実践する。街区全体でCO2排出実質ゼロ実現するエネルギー施策や、壁面緑化を含む約1万3500平方メートルの緑地空間の整備に注力するほか、地震や水害、停電、感染症などの災害発生後のBCP対策にも取り組む。
発表会見の場で、野村不動産ホールディングス代表取締役社長の沓掛英二氏は「東京・浜松町エリアの発展に欠かせない重要な要素となる。東京の都市力をさらに強めることに寄与する」と述べ、同プロジェクトの意義を強調した。
ツインタワーは延べ床面積55万平メートルで、東京湾岸部で最大規模の開発となる。また、国家戦略特別区域計画の特定事業でもある。まずは2025年3月にオフィスとホテルが中心となるS棟を竣工。商業施設やレジデンスが中心となるN棟は2030年に竣工予定だ。
このうちオフィスでは、出勤とリモートワークのハイブリッドな働き方が定着していくことを睨み、新しい働き方「TOKYO WORKation」(トウキョウワーケーション)を提案。コロナ禍によって「人と人が会うことで、思考が加速する効果を実感した人も多い」(野村不動産ホールディングス代表取締役副社長/野村不動産代表取締役社長の松尾大作氏)と、オフィスに来たくなる価値を創ると話した。
目前に海と空、眼下に運河と緑地が広がる環境を生かし、ウェルビーングなオフィス専用部のほか、地上約138メートルの高さに設けるスカイラウンジやホテル、商業施設などからもワークプレイスを選択できるようにし、働く人のパフォーマンスやエンゲージメントが高まる環境を提供する。
また、2025年度開業のホテル「フェアモント東京」では、スイートを含む全219の客室と3つのレストランバー、スパ、フィットネス、プール、バンケット、カンファレンス、チャペルを備える。100年超の歴史を持つ名門の同ホテルの開業が国際観光都市である東京の価値を高め、MICEを含めてTOKYO WORKationの体験も高めると期待する。
このほか、同プロジェクトでは「ウォーターズ竹芝」や「東京ポートシティ竹芝」、「浜松町西口地区」など、浜松町や竹芝の再開発プロジェクトとも連携し、エリアの回遊性向上や賑わいの創出も図る。現在、東京の船着き場の整備計画が進行していることから、他の地域と連携し、通勤や観光のインフラとして湾岸部や内陸の河川・運河の舟運の可能性を探り、活性化を図っていく考えだ。
なお、N棟で展開する商業施設やレジデンスの詳細は、今後発表となる。