米国政府は、米国への海外旅行者に対して義務化していた出発1日前の検査を撤廃する。AP通信によると、政府高官が2022年6月12日(現地時間)から実施されることを明らかにした。米疾病対策センター(CDC)は、今後90日ごとに検査撤廃を再評価し、新たな亜種が出現した場合は、検査を復活させる可能性がある。
ただし、米国入国に際しては、引き続きワクチン接種証明書は提示する必要がある。
出発1日前検査は米国に最後まで残っていた水際対策。米国の航空会社や観光業界は、早期の撤廃を訴えてきた。米旅行業協会のロジャー・ダウ会長は、今回の決定について、「米国の航空旅行とインバウンド旅行市場にとって大きな前進」と歓迎のコメントを出した。
米国の国内線はほぼパンデミック前に回復しているが、国際線は依然として苦しい状況が続いており、米航空業界団体エアラインズ・フォー・アメリカによると、2022年5月の旅客数は2019年同月比24%減のままだ。ある米航空会社は、検査義務の撤廃によって年間430万人の旅客が増えると見込んでいる。
入国時の出発前検査は、米国内でワクチン接種がまだ進んでいなかった2021年1月に義務化された。当初は、ワクチン接種完了者に対しては出発3日前の検査、ワクチン未接種者には出発1日前の検査を求めていたが、2021年11月にオミクロン株が出現して以降は、すべての旅行者に出発1日前検査を義務付けた。