観光庁は令和5年度(2023年度)予算の概算要求をまとめた。一般会計分は前年度予算比1.25倍の176億8800万円。また、国際観光が回復するとの見込みから、国際観光旅客税を活用した観光施策の展開として、3.3倍増となる270億円を要求した。東日本大震災の復興枠としては、2022年度予算と同額の7億7000万円。総額の要求額は、2022年予算の230億2300万円からおおよそ倍増となる454億円5800万円となった。
要求額が昨年比3.3倍となった国際観光旅客税とは、いわゆる出国税。原則として、船舶、航空会社が特別徴収義務者として、チケット代金に上乗せするなどで出国1回につき1000円を徴収している。国際観光の回復が見込まれる2023年度は、その税収を活用した予算として国際観光振興施策に必要な経費に充てるとした。ただし、税収は国際観光の回復状況により変化することから、今後の感染状況によっては要求額と実際の予算は異なる可能性がある。
このほか、今後の感染状況や観光需要の動向を踏まえて、観光立国の復活に向けた施策を推進する予算を編成過程で検討する。この事項要求には、地方創生を推進する観光地再生・高付加価値化事業や地域ブランド化につながる観光資源の磨き上げなどが含まれる。
新たに「交流市場の創出」や地域でのデータ共有推進なども
2023年度予算では新規に「新たな交流市場の創出事業」として6億5000万円を要求。ポストコロナを見据えて、「第2のふるさとづくり」の定着・普及、ワーケーションの推進、旅行者を惹きつけるレガシーの形成に取り組み、国内外の観光需要を喚起することで、交流人口や関係人口の拡大を進めていく。
また、観光産業の高付加価値化として「DXや事業者間連携等を通じた観光地や観光産業の付加価値向上支援 」で新たに15億円を要求。観光産業の生産性向上を図るため、地域内の宿泊施設における予約・在庫などに関するデータの共有と利活用を促進するとともに、観光産業と他業種との連携における先駆モデル創出を目指す。
このほか、インバウンド回復に向けた戦略的取組については、前年度予算の1.45倍に当たる98億7900万円を要求した。このうち、戦略的な訪日プロモーションの実施は93億円。回復に向けたスタートダッシュとして、航空会社やOTAとの共同広告を展開するとともに、大規模なアジアキャンペーンを実施する。
また、デジタル技術を活用したマーケティング基盤の強化、地方誘客の促進を進めるともに、ポストコロナの旅行ニーズの対応として、アウトドアやサステナブルツーリズムのコンテンツの発信を強化。高付加価値旅行者の誘致にも力を入れることで、消費額の増加に取り組んでいく。