日本人の海外旅行が本格的な回復に向かうなか、米国オレゴン州は日本市場に大きな期待を寄せている。2019年にオレゴン州を訪れた外国人は全体の約12%。そのうち、日本は中国に次ぐ第2位の市場で、ゼロコロナ政策を継続する中国市場が閉じたままの現在、オレゴン州は日本を最重要市場のひとつとして位置付けている。
日本へのセールスミッションとして来日したオレゴン州のケイト・ブラウン知事は、「日本とオレゴン州との経済関係は長く深い。コロナ前は観光を含めた文化交流も盛んだった。日本の国境が実質的に再開された今、再度日本市場でオレゴンの自然や食をアピールしていきたい」と話し、日本人旅行者誘致に意欲を見せた。
オレゴン州観光局のトッド・デヴィッドソン最高経営責任者によると、日本市場はレジャー旅行、教育旅行、ビジネス渡航に分かれる。デヴィッドソン氏は、教育旅行について「安全性や清潔な環境が非常に重要な要素。オレゴン州はその期待に応えられる」と強調。来年から誘致活動を本格的に再開する考えを示した。
ビジネス渡航についても期待は大きい。現在、オレゴン州に進出している日系企業は約160社。ビジネス渡航やMICEでも日本は重要な市場になっているという。
レジャー旅行については、オレゴン州のダイナミックな自然を舞台にしたアドベンチャーツーリズムの訴求も強化していきたい考え。本格的なアウトドアアクティビティから、初心者も楽しめる自然体験が豊富に揃っていることをアピールした。
いずれのセグメントにしても、待ち望まれるのが直行便の再開。ブラウン知事は「来春にもデルタ航空の羽田/ポートランド線が再開されるのではないか」と明かし、直行便による市場活性化に期待を寄せた。
また、デヴィッドソン氏は「オレゴン州ではコロナ禍でもホテルへの投資は続けられてきた」と話し、その象徴として来春にもポートランドの中心に新規開業予定の『ザ・リッツ・カールトン・レジデンス・ポートランド』を紹介。「ポートランドは富裕層旅行者にも注目されるデスティネーションになる」と続けた。
このほか、ブラウン知事は世界的に課題となっているホスピタリティ産業での人材流失についても言及。オレゴン州としては、給与アップや人材教育などで継続的な支援を実施していると強調した。