【年頭所感】全国旅行業協会(ANTA)会長 二階俊博氏 ―コロナ禍から平時へ、活発な交流再開に取り組む

全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博氏が、2023年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

二階会長は今年のテーマを「コロナ禍から平時への移行」とし、年度内に2回目の開催となる「国際観光活性化フォーラム」(3月17日、山形)を観光の起爆剤とすべく、全身全霊で打ち込む意思を表明。海外旅行やインバウンドの国際往来も、国民同士の相互理解と絆を促進する平和産業としての観光の意義を示唆し、より活発な交流再開ができるよう取り組む意欲を示した。

最後に、「観光が明るくなれば、世の中は必ず明るくなる」とも述べ、2023年がさらなる飛躍を遂げる元年となるよう、観光業界の奮起を呼びかけた。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2023年 年頭所感

明けましておめでとうございます。新しい年を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。

さて、旧年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界情勢が大きく変化する中、Withコロナを前提とした新しい生活様式の浸透や、感染拡大防止への対応を図った上で、コロナ前の経済活動を取り戻すべく、創意工夫に励んだ一年となりました。

旅行・観光産業の昨年を振り返りますと、長く暗かったトンネルにようやく出口の光が差し込んできたのではないかと存じます。約3年に亘り、新型コロナの影響を受け続けてきた事業者は、依然として厳しい経営環境の下で、予断を許さない状況が続いております。しかし、2020年4月から実質的に停止されていた外国人観光客の受入れが2年2カ月ぶりに再開されるとともに、大型観光需要喚起策として全国旅行支援が10月より実施され、失われた旅行者が国内各地に回帰し、かつての賑わいを取り戻し始めたことは、我が国が観光立国の道を再び歩み始める大きな第一歩となりました。

また、前年は、尊い人命が失われる重大事故が複数発生した年でもありました。昨年4月の知床遊覧船沈没事故、10月の静岡での観光バス横転事故など、改めて観光の安全性が問われる事案が起きております。旅行の安全確保は、各事業者の旅行実施において、全てに優先する事項であることは間違いありません。これらの事故を真摯に受け止め、官民連携を図りながら、旅行者の皆様への安全・安心な旅行の提供に全力で取り組んでまいります。

今年の旅行業界のテーマは、いよいよ「コロナ禍から平時への移行」となります。当協会におきましても、昨年5月開催の山梨フォーラムに引き続き、年度内に2回目の実施となる「第17回 国内観光活性化フォーラム in やまがた」を来たる3月17日に開催します。業界内でも一大イベントである本フォーラムは、当協会47支部組織、全国のANTA会員並びに観光関係の皆様が一堂に会し、開催地の山形県への送客を促進するとともに、国内旅行及び地域観光の更なる需要拡大を図ることを目的とした大会となります。本大会が、我が国のツーリズムを大いに盛り上げる起爆剤となるよう、全身全霊を打ち込んでまいります。

さらに、海外旅行やインバウンドの国際往来につきましても、近隣諸国を中心に、より活発な交流が再開できるよう取り組んでまいります。私はかねてから「観光は平和産業」と申し述べておりますが、国際交流が盛んになることで、お互いの国への理解が深まり、国民同士の絆が結ばれ、新たな観光需要が生み出されることとなります。世界的なコロナ禍により異国の文化と触れ合う機会が一時途絶してしまいましたが、観光業界が一丸となって、多くの日本人が外国の文化に触れ、多くの外国人が日本の文化の素晴らしさを経験する機会を大いに創出していただきたく存じます。

観光が明るくなれば、世の中は必ず明るくなります。これまで培ってきた長年の経験と英知を結集して、全国各地の元気を取り戻し、我が国の観光産業が更なる飛躍を遂げる元年となるよう、総力を挙げて共に奮起してまいりましょう。

全国旅行業協会(ANTA)

会長 二階俊博

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