米国DMOのリーダー達が稼ぐ報酬は? 首位はカリフォルニア観光局CEOの年俸2.4億円、高収入の一方で複雑化する立場の側面も【外電】

米国のDMOのリーダーたちは高収入を得ている。米観光産業ニュース「スキフト(Skift)」は、海外からのインバウンド旅行者が多い米国の都市トップ20の観光局などの観光地域づくり法人(DMO)に焦点を当て、そのCEOの2022年度の収入を調べた。さらに、全国組織としてブランドUSAとデステネーションズ・インターナショナル(DI)についても追加調査した。

それによると、最も多い報酬を得ていたのはカリフォルニア観光局(Visiit Califorinia)のキャロライン・べタタCEOで、その額は約156万ドル(約2.4億円)。次いで、サンフランシスコ観光協会前CEOのジョセフ・デアレサンドロ氏の約96万ドル(約1.5億円)、アトランタ・コンベション&ビジターズ・ビューローのウィリアム・ペイトCEOの約95万ドル(約1.47億円)が続いた。

ブランドUSAのクリス・トンプソンCEO(2024年5月に退任)は約74万ドル(約1.14億円)、デスティネーションズ・インターナショナルのドン・ウェルシュCEOは約71万ドル(約1.1億円)。

このほか、海外からの観光客が少ない中規模都市のDMOのトップが高収入を得ているケースもある。インディアナポリスのビジット・インディのレナード・フープCEOの年俸は約92万ドル(約1.4億円)。2018年に12年間の契約延長をおこなった。同DMOの実行委員会によると「フープ氏は、他の団体からのヘッドハンティングのターゲットになっている。その彼を引き止めるために積極的に取り組んできた」と明かす。

また、ナッシュビル・コンベンション&ビジターズ協会のクリストファー・スピリドン氏は、2022年度に約140万ドル(約2.2億円)を稼いだ。同氏は30年以上にこの団体を導き、その年を最後に引退。ナッシュビルを米国で最も観光客が多い都市の一つに押し上げたことで高い評価を受けている。

「報酬は、組織の規模、デスティネーションの複雑さ、CEOがもたらす経済的影響に大きく左右される」と人材紹介会社サーチワイド・グローバルのマイク・ギャンブルCEOは説明する。また、理事会の考え方によっても異なるようだ。ディスカバー・プエルトリコのブラッド・ディーンCEOは、「DMOによって、CEOに設定されるKPIの数は違う」と話す。

組織が大きくなるほど課題も大きく

州単位のDMOでは、扱う予算も巨額になる。カリフォルニア観光局は州政府から約1億ドル(約155億円)の投資を受けた。べタタCEOは、カリフォルニア州の観光産業をパンデミックから回復させたことで高い評価を受けている。

一方で、役員報酬に充当できる額が制限されている州もある。半官半民のビジット・フロリダのダナ・ヤングCEOは約21万ドル(約3260万円)を稼いだが、州の資金から捻出できるのは最大12万ドル(約1860万円)まで。同組織の規定には「12万ドルを超える金額はすべて民間資金で支払われる」と記載されている。

DMOのCEOの立場は過去10年間でより複雑になっている。担当地域のマーケティングを管理し、訪問者を誘致するだけでなく、ホテルやコンベンションセンターの建設、観光資源の開発などのため新規投資家を開拓する。さらに、政治家や住民との関係にも気を配らなければならない。

※ドル円換算は1ドル155円でトラベルボイス編集部が算出

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(Skift)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:America’s Best-Paid Tourism Marketers

著者:Dawit Habtemariam氏


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