東京五輪、景気浮揚効果は7~12兆円、ロンドンと同規模 ‐日本総研

東京五輪までの約7年間の景気浮揚効果は7~12兆円、40~70万人分の雇用創出効果も――。
2020年の夏季五輪開催地が東京に決定したことで、観光業などの経済面でのメリットに期待が膨らんでいる人も多い。日本総研がこのほど東京五輪の経済効果について分析したところによると、需要増加額は3兆9320~6兆6320億円、生産誘発額は6兆7780~11兆7780億円、雇用誘発数は39.7~67.5万人と見通した。生産誘発額でみると、GDPの2%前後に相当する額であり、ロンドン五輪のケースと同様の効果といえるという。


▼準備期は需要増加額3兆3520~6兆0520億円

五輪準備期はロンドン五輪同様に外国人観光客が増え、東京都における民間設備投資の県内総生産に対する比率がリーマンショック前の水準まで高まる、などの想定のもと、需要増加額を3兆3520~6兆0520億円と試算。このうち東京の知名度向上による海外観光客の増加で6800億円、観光客増を見越した宿泊施設・飲食店の改装・増築需要、東京再開発に伴う建設需要で2兆2000~4兆9000億円を見込んでいる。


▼開催時は需要増加額で5800億円

五輪開催時については、ロンドン五輪の英国文化・メディア・スポーツ省の試算に準じて東京五輪観戦・観光客の消費支出額をはじくなどして、需要増加額で5800億円を見込む。このうち観戦客による宿泊・飲食・関連グッズ・みやげ物などの消費支出は2700億円としている。なお、東京都の想定では、五輪開催期間中の1日当たりの会場来場数は最大92万人。開催日数17日間では1564万人となり、のべ1000万人を超える観戦客が東京を訪れるとされている。


▼「五輪効果」だけでなく、マイナスも

ただし、五輪開催後についてはプラスとマイナス両方の効果を想定。東京の認知度向上で海外観光客が増え、再開発による都市機能の向上により成長力が押し上げられる効果が期待される一方で、建設投資一巡による反動減の発生や、債務増加による経済活動抑制なども考えられる。プラス効果を極大化し、マイナス効果を最小化するためには、財政再建との両立を念頭にネットの公的支出増を極小化すること、五輪開催を「東京の国際化」を飛躍させる契機とすること、人口減少・高齢化などが進む2020年以降の「東京」のあり様を見据えつつ都市再開発を進めることなどのキーワードが不可欠としている。


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