旅行業196社、ホールセラーやBTMが飛躍、リテーラーは苦戦 ー旅行業経営分析(2)

2011年度の旅行業は、ホールセラーやインターネット販売系、業務渡航系旅行会社が収益を拡大する一方で、リテーラーは苦戦――。
日本旅行業協会(JATA)が第1種旅行業者196社における11年度の経営状況をまとめた「旅行業経営分析2013」によると、2011年度は業態によって大きく明暗が分かれているのがうかがえる。

たとえば、旅行業部門の経常利益が黒字と答えた企業の割合を比較してみると、BtoCモデルで旅行を取り扱う企業では、半分以上を自社サイトを通じて販売する「インターネット販売系」が12社中12社、インハウスや業務渡航を取り扱う「業務性旅行特化系」は36社中32社と高かったのに対し、他社の企画商品の販売・団体、個人旅行手配を行う「リテーラー」は28社中12社、通信販売額が50%を超える「メディア・通信販売系」が6社中4社と低かった。自社で旅行商品を造成しさまざまな流通チャネルで販売する「総合旅行系」が43社中32社、自社で造成した商品を自社のチャネルで販売する「商品造成自社販売系」が45社中32社と7割程度だった。

一方、BtoBモデルにおいては「ホールセラー」は10社中8社、海外旅行素材を旅行会社に卸売りする「海外旅行ディストリビューター」は8社中7社とともに8割を超え、「海外ランドオペレーター」は8社中5社にとどまった。


▼経常利益増加率

ネット系は252.6%、リテーラーは-70%に

これら9つの業態区分のなかでも、好業績が目立ったのは、ホールセラーや業務性旅行特化系など。ホールセラーは営業利益率が22.7%、経常利益率が23.1%と他の業態よりもっとも高く、取扱高増加率も44.3%と大きく飛躍。業務性特化系は取扱高増加率は-3.5%だったものの、営業利益率は15.0%、経常利益率が15.6%と、ホールセラーに次ぎ高い数字となった。

インターネット販売系は特にその成長性が著しく、取扱高増加率は前年度から0.1ポイント増とほぼ横ばいも、15.2%と2番目に高い数値。経常利益増加率も252.6%で、前年度の-47.9%から大幅に増加している。一人当たりの取扱高・収入・営業利益・経常利益においても、そのすべての分野で上位3位以内に入るなど、収益性の高さが浮き彫りになっている。

総合旅行系は、経常利益増加率が0.1%、取扱高増加率が-1.3%でそれぞれ平均を下回るなど成長性は低いが、安全性を示す自己資本比率が39.2%と前年より30.3ポイント上昇。196社の平均より17.2ポイント上回った。


リテーラーは収益性を示す経常収益率が0.1%、自己資産当期利益率が0.0%で、それぞれ196社平均の7.0%、4.2%を下回る数値。成長性を表す指標においても、経常利益増加率が-70.7%、取扱高増加率が-27.2%と、196社平均の155.7%、71.4%を下回っており、厳しい経営環境に見舞われているのが垣間見える結果となった。


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