仏・ヴェルサイユ宮殿、進化し続けることで魅力を維持、ユニークベニューの側面も

このほどフランスからヴェルサイユ宮殿・美術館・国有地公団のトップらが来日、日本の旅行業関係者と交流の場を設けた。総裁カトリーヌ・ペガール氏は、世界遺産にも登録されているヴェルサイユ宮殿と庭園は常に修繕を繰り返しながら維持されている歴史を紹介。また多様化する海外からの旅行者に対応すべく努力を続け、変化し続けることで旅行者にとって魅力的な存在であり続けたい方針を語った。


ヴェルサイユ宮殿を訪れる旅行者は年間750万人。そのうち75%が海外からの旅行者で、日本人は4%のシェアだという。カトリーヌ氏は、こうした日本人旅行者を満足させるためには、「日本人に人気の高いマリー・アントワネット王妃に関する展示などを充実させることが重要」と考えている。

2012年には、「マリー・アントワネットの浴室」の修繕が完了し、少人数での見学が可能になっている。また、彼女のサロンも改修中。今後2年間については、アントワネット王妃が宮廷から離れて静かに過ごすために小トリアノンを囲むようにつくられた村里の修繕に注力するという。こうした改修を続けることで、カトリーヌ氏は「何度訪れても新しいヴェルサイユ」として日本人訪問者を受け入れたい考えだ。


▼ユニークベニューとしてのヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユ宮殿と庭園は、企業や組織・団体に対して貸切りも行っている。パーティーやコンサートなどを含むイベントなどで活用することでMICEにも利用が可能だ。特に「戦闘の回廊」は1.560平方メートル(長さ120m、幅13m)の広さで600~800人を収容、また「オペラ劇場」は幅12.30m、奥行き23m、高さ36mの舞台で600人を招いてショーの上演や貸切鑑賞をすることができる。

日本人の活用も増えており、一例としては2012年4月には旅行会社が一般の旅行者を募集して記念旅行を実施した。休館日の夜に宮殿の「戦闘の回廊」で行う着席晩餐会をメインに集客。庭園の見学や自由見学では訪れることのできない部屋の見学を含む宮殿の貸切見学を行ったという。一般入場ではできない体験に、ヨーロッパ各地を展開していた複数のツアーが実施日にヴェルサイユに集結した。カトリーヌ氏は、こうした特別な利用は「旅行者に違う視点でヴェルサイユがみてもらえる」として、今後も積極的に取り組みたい考えだ。

なお、フランス観光開発機構によると、近年の経済状況や震災の影響で冷え込んでいたフランスへのMICE需要は回復傾向で、今年に入ってからは数百名規模の大型のインセンティブ案件などが目立つようになったという。



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