アジアからの個人旅行予約はオンラインが主流、飲食店は「日本に到着してから決定」が約半数 

日本政策投資銀行(DBJ)が公益財団法人日本交通公社(JTBF)と共同で発行した「DBJ・JTBF アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)」レポートをもとに、アジア8地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア)の旅行形態をタビマエ、タビナカ、旅行意欲に分けてまとめてみた。


タビマエ: 情報報集はガイドブックと口コミで

訪日経験者に「直近の日本旅行の宿泊施設やホテルの手配」について聞いたところ、パック旅行以外では、いずれの国・地域おいてもウェブサイトやOTAなどインターネット経由で予約する割合が全体で70%と高く、香港(85%)、タイ(77%)、シンガポール(81%)が平均を上回った。

利用した宿泊施設では、日本旅館の割合が一番高く47%。次いで、高級ホテル(39%)、安価で基本的な設備のみ備わっているホテル(35%)が続いた。日本旅館の利用が最も高かったのは中国で62%。

また、旅行前の情報収集については、引き続き旅行ガイドブックが1位で、訪日経験1回で35%、2回以上で37%となった。2位は友人、3位は家族・親戚となり、口コミによる情報収集も上位に入った。ネット系では、日本政府観光局(または観光庁)のホームページ、旅行会社のホームページ、個人ブログ、口コミサイトがトップ10入り。SNSも平均19%となり、前回調査の13位から11位に順位を上げた。

日本旅行希望者に希望する宿泊施設を聞いた調査では、日本旅館の人気が高く、訪日未経験者で74%、訪日経験者で64%という割合になった。日本で実際に宿泊した割合47%を見ると、実態との間に開きがあることが分かる。また、ユースホステル・ゲストハウスや現地の人から借りる家も一定のニーズがあり、現地の人との交流を望む需要があることもうかがえる。


タビナカ: 食事場所は日本で選択、免税制度にも課題

「日本に来てから決めたもの」についての調査では、食事や買い物の場所については日本に着いてから決める割合が相対的に高く、食事場所では訪日経験1回で46%、2回以上で48%、買い物スポットでは1回で35%、2回で37%という割合になった。

また、「日本での交通手段」については、全体的には鉄道の利用が多く、新幹線の利用では特に中国が70%を超える割合となった。韓国では乗り合いバス、台湾では貸し切りバスの利用が多い実態も分かった。一方、航空国内線は訪日経験1回で10%、2回以上で13%と低い水準とどまっている。

日本旅行で不満だった点については、言葉、費用、通信など快適に旅行するための環境が整っていないことが引き続き上位に入ったものの、前回調査と比較して、不満を抱く割合が下がっている。そのなかでも、英語の通用度については、訪日経験1回で22%、2回以上で25%と高い不満が続いている。

国・地域別で見ると、韓国ではWi-Fiの充実度や外貨両替に対する不満が高く、中国では人々の交流や免税制度への不満が上位に入った。このほか、タイやインドネシアでは日本の酒(日本酒・焼酎)、シンガポールでは安価で基本的な設備が整っている宿泊施設、マレーシアではブランド品や宝飾品のショッピングなども不満の上位に入った。

日本旅行でのショッピングの場所についての調査では、中国、シンガポール、マレーシアはショッピングモール、台湾はドラッグストア、香港はスーパーマーケットや百貨店、タイとインドネシアは観光地の土産物屋などが多く、国・地域によって差があることが分かった。

日本の免税制度については、今よりも分かりやすく、使い勝手がよければ、「もっと多くの買い物をしたと思う」と答えた割合が訪日経験1回で37%、2回以上で42%となり、また、外貨両替やクレジットカード/キャッシュカードの利用環境についても似たような結果となった。特に中国、タイ、台湾でその割合は高い。


旅の意欲: リピーターは地方観光地に興味

日本の観光地の認知度については、訪日経験にかかわらず、上位3位は東京、富士山、北海道。いずれの国。地域についても、リピーターを中心に地方観光地の認知度が高まる傾向にあり、特に東北(青森、平泉、松島、福島)は台湾と香港で、瀬戸内地域(岡山、広島、山口、高松、道後、しまなみ海道)は中国と台湾でそれぞれ認知度が高まっていることが分かった。

実際に行ってみたい観光地の調査では、依然としてゴールデンルートの観光地や北海道の人気が高いものの、訪日回数が増えるほど、地方への訪問意欲が高まる傾向にある。特に、台湾では相対的に地方観光地への訪問意欲が高いことが分かった。地域別では、訪日経験者による九州エリアへの旅行意欲が他地域よりも高い結果となった。

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