国内出張でホテル支給額を見直さない企業は47%、「ホテル高騰を認識している」は82% ―労務行政研究所

労務行政研究所は2016年2月、企業の労務担当者を対象に国内出張宿泊料の支給額を調査した。それによると、現状では一般社員に支給する宿泊費の平均は1万345円、課長クラスで1万1224円、部長クラスで1万1873円だった(距離や地域に応じて支給額に差を設けている企業では、その最高額を対象に算出)。

また、企業全体の82.0%が「ホテル代の高騰について認識している」と回答。宿泊料の値上がりなどを理由に、宿泊料が所定の額を超えてしまった場合の対応では、「やむをえない場合は超過額を出張者に実費支給する」企業が73.8%、「規定額を超過しても補償はしない(出張者が自己負担)」企業は22.9%だった。

一方、ほぼ半数を占める企業(46.7%)が「ホテル代の高騰などがあるが、宿泊支給額は見直さない」方針。「宿泊料の支給額を見直す検討をする」企業は全体の29.3%、「緊急的に宿泊料を見直した」企業は10.8%にとどまる結果となった。

支給額の変更以外に企業側で対処している措置としては、「テレビ・インターネット会議を活用する」(64.0%)が最多。次いで、「インターネットサイトの利用などにより宿泊先を確保する」(58.6%)、「日帰り出張を推奨する」(28.8%)の順。

ほかには「旅行業者やホテルと提携し、優先的に予約確保する」「出張先から離れた郊外で宿泊先を確保する」「出張する回数を減らす」「出張する人数を減らす」などが2割以上を占める結果に。内訳をみると、1000人以上の大規模企業や製造業では「テレビ・インターネット会議の活用」が多く、中・小規模企業や非製造では「ネットの利用で宿泊先を確保する」傾向が多いことも判明している。

なお、企業の人事・労務担当者からは、「ホテル代の高騰もだが、そもそも宿泊の予約がとれない」といった声も多く挙げられたという。宿泊先の確保しにくさや宿泊費の高騰などにより、出張のスタイル自体を見直す企業も多くなっているようだ。

ホテル代の高騰を受けて企業がとっている対策の状況は以下のとおり。

労務行政研究所:報道資料より

今回の調査は、外国人旅行者の急増に伴う国内のホテル代高騰を受けて実施されたもの。対象は同研究所が発行する情報誌の会員である人事労務・総務担当者322名。調査機関は2016年2月4日から10日まで。


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