外務省は2016年6月23日、中東諸国を対象にしたMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスに関する注意喚起を発出した。現地でウイルスの保有宿主とされるラクダへの接触を避けてほしいと呼びかけ。同時に、院内感染のリスクが高いとの情報提供をおこなっている。
対象地域は、サウジアラビア、アラブ首長国連合(UAE)、カタール、オマーン、ヨルダン、イラン、クウェート、レバノン、イエメン、バーレーンなど、中東諸国広域にわたる。
世界保健機関(WHO)は2016年6月21日付で、2012年9月以降これまでに累計1762名の確定感染者と、そのうち629名の関連死亡者数を報告。5月15日から6月18日までの間に、サウジアラビアでは新たな感染者28名(うち志望者名)、UAEで1名の新規感染者が確認されたとする。
特に、医療従事者の感染が15%を占め、院内感染の危険性が高いうえ、50歳以上の高齢者や慢性疾患(糖尿病、高血圧、喘息、腎障害、心疾患、呼吸器疾患など)を持つ人が感染すると重症化するリスクが大きいという。
また、ウイルス宿主のラクダは威嚇行動でつばを吐くことがあるため、接触のみならず不用意な接近は避け、未殺菌のラクダ乳の摂取は厳につつしむよう促している。
なお、MERS流行国から帰国2週間以内に、咳や発熱といった呼吸器症状がみられた場合は、速やかに最寄りの保健所に電話で連絡してほしいとしている。