旅行関連調査会社の米フォーカスライトはこのほど、オンライン旅行予約サービスの利用実態に関する国際調査を実施した。航空会社や宿泊施設などサプライヤーのサイトからの直接購入と、複数の航空会社や宿泊施設を比較しながら購入できるOTA(オンライン旅行代理店)サービスの利用状況比較にフォーカスを当てて分析したもの。 それによると、宿泊施設と航空チケットのいずれも、OTAサービスの利用者率が多い一方、国や購入対象に応じてやや異なる傾向があることが分かった。
今回の調査の調査対象は中国、米国、ブラジル、ロシア、ドイツ、英国、フランス、オーストラリアの消費者。レジャー目的での宿泊・航空予約行動を分析した。
例えば宿泊施設に関しては、レジャー旅行者の最大市場である中国で91%がOTAを利用する一方、宿泊施設のウェブサイトの利用は39%にとどまる。そのほか、調査対象となったほぼすべての国でOTAの利用者が宿泊施設からの直接購入の2倍以上の数値を示した。
ただし、米国やフランスでは、「OTAを利用した後にホテルのウェブサイトに移動して購入する」傾向が見られたという。同レポートでは両国でのこの傾向について、旅行者はOTAサービスを通じてホテルの詳細や価格などを確認した後、ホテルの会員プログラムを利用するためにサプライヤーのサイトで予約行為をおこなっていると分析。このような消費者の意向はオンライン旅行予約サービス利用者に共通する考え方であると示唆している。
ホテル予約時のOTA利用者と宿泊施設サイト利用者の割合は以下のとおり。
また、航空チケットについても、中国では95%がOTAを利用し、航空会社サイトからの直接購入は45%と半数以下に。ただし、英国ではOTA利用が59%、航空会社からの直接購入の割合が56%でほぼ同レベル。また、オーストラリアもOTA利用が74%と優勢だが、航空会社サイトからの購入率も約6割の59%と比較的高く、その差は15%にとどまった。
航空チケット予約時のOTA利用者と宿泊施設サイト利用者の割合は以下のとおり。
※編集部注:米フォーカスライトより訂正が発表されたため、航空チケット予約時のグラフとその解説文を最新内容に更新しました(2016年8月30日)。
予約時の行動をみると、スマートフォン経由でOTAから予約する人の割合が多数におよぶことも確認された。たとえば、中国では航空・宿泊予約ともにスマホでのOTA経由の予約が6割以上となり、スマホでサプライヤーから直接予約をおこなう人の割合は18%と2割に満たない。この傾向はブラジルや米国、オーストラリアなど他国でも同様で、スマートフォンを利用する人が積極的にOTAサービスを利用する様子を浮き彫りにしているといえる。
なお、OTAを利用する理由を聞いたところ、最も多い回答は「ウェブサイトが使いやすいから」(47%)。次いで、「いつもOTAを利用しているから」(37%)、「(OTAの)ブランドを信頼しているから」(34%)、「OTAは最安値を提示してくれるから」(30%)、「1か所で旅行に関するすべての予約をおこなえるのが便利だから」(29%)といった回答が続いたという。
この調査は、フォーカスライトが世界最大手のオンライン旅行予約サービス(OTA)エクスペディアの協力を得て実施したもの。