観光産業の2017年春闘方針を発表、0.5%以上の賃金改善要求を継続、産業基盤の強化へグローバル動向も視野に -サービス連合

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2017年1月18日開催の中央委員会で決定した2017年の春季生活闘争(春闘)の方針を発表した。今季も年収改善、特に月例賃金の引き上げにこだわり、すべての加盟組合で賃金カーブを維持した上での0.5%以上の実質的な賃金改善を要求していく。

0.5%以上の実質的な賃金改善の要求は、中期的な賃金目標「35歳年収550万円」を目指し、過去3年間にわたり取り組んできた。その結果、全体の約5割の加盟組合で0.5%以上の実質的な賃金改善を実現。2020年に向けて観光産業への追い風が吹くなか、残り5割の組合での実現に向け、研修などを含む様々な支援を検討していく。この3年の取り組みで賃金制度の整っていない組織があることも判明したとし、状況に応じた支援をしていく考えだ。

一方、労働条件の改善には強固な産業基盤が必要との認識のもと、政策実現に向けた活動にも力を入れる。すでにサービス連合としての政策提言を取りまとめ、活動を進めているが、2016年度の重点政策として、既存の「インバウンド」「休日休暇改革」「観光産業と社会」「産業の人材育成」に、「民泊サービス」「貸切バス事故再発防止」を加え、今年度での実現を目指す。2016年3月に見解を発表しており、特に民泊については、新法の制定に一定の評価をするものの、サービス連合としてはあくまでも、旅館業法の適用を求めていく。

さらに、環境変化への対応として、世界にも視野を広げる。その一環として、UNWTO(国連世界観光機関)への賛助会員加盟を検討し、1月18日の中央委員会で了承を得たところ。各社の事業がグローバル化するなか、また、AI(人工知能)やビッグデータ等が業務をはじめ、働き方等にも影響が考えられるなか、今後の活動には日本と世界で起きている現象に目を向ける必要があるとの認識で決断した。今後、加盟に向けた取り組みを行なっていくが、実現すれば労働団体として世界でも初の会員になるという。

なお、2017年の春季生活闘争では、2018年4月以降に発生する無期転換申込権(有期労働契約が更新され、通算5年を超えた時に、労働者の申込みで無期労働契約に転換できるルール)にあわせ、雇止めの不安を解消して働き続ける環境を整備するための取り組みも行なっていく。

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