クラウド出張管理のコンカー社、民泊・OTAなど外部コンテンツと統合する新サービスなど発表、日本に本格参戦でJTBと提携

左から)コンカー社長・三村氏、JTBビジネストラベルソリューションズ取締役・中村氏

クラウド経費管理サービスのコンカーとJTBのBTM専門旅行会社・JTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)が、戦略的協業で業務提携を発表した。

コンカーが同時に発表した、日本市場でのビジネストラベルマネジメント(BTM)の業務基盤「パーフェクトトリップ・ネットワーク構想」について、JTBビジネストラベルソリューションズは両社の顧客企業に対し、BTMにおけるコンサルティング力を活かした法人出張サービス提案から導入までのサポート、稼働後の発券、精算、トラベルプログラムの最適化までのサービス提供を行なう。

コンカーは今回の新構想とJTB-CWTとの業務提携で、日本でのBTM分野の獲得を本格化する。代表取締役社長の三村真宗氏は、コンカーのクラウド型出張管理サービス「Concur Travel」が、BTMで先進する北米市場でオンラインでの出張予約をする企業の7割に採用されていることを説明。「欧米での実績を活かし、遅れている日本企業のBTMを、まず業務基盤から海外並みにする」と自信を見せた。

また、JTB-CWT取締役営業担当の中村一郎氏は今回の提携について、「強力な選択肢が増えた」と、約650社の顧客企業を抱えるJTBビジネストラベルソリューションズにとってもメリットがあることを説明。JTB-CWTでは、連携するカールソンワゴンリートラベル(CWT)の世界3000拠点でサービス提供が可能となるため、「特にグローバルではコンカーとの親和性が高い。海外拠点を含めた出張管理を効率的に実現できる」と、業務提携の意義を強調する。今回の提携により、両社で今後3年間で100社の受注を目指す方針だ。

パーフェクトトリップ・ネットワーク構想とは

コンカーのパーフェクトトリップ・ネットワークは、グローバルに展開する同社のクラウドサービスに国内旅行の外部関連サービスを連携し、業務出張の一連のプロセスにおける一気通貫のサポートをクラウド上で提供。

(1)Concur Travelなどコンカーの「クラウドサービス」群、(2)航空券やホテル、OTA含む旅行会社、民泊などを含む外部の旅行コンテンツを統合する「TripLink」、(3)旅行会社やGDSといった旅行関連の「パートナー戦略」、(4)WiFiレンタルやタクシー、飲食など「オープンプラットフォーム」の4つの要素で構成する。出張者と導入企業に対するコスト最適化と効率化、利便性向上とともに、パートナー企業にもコンカーを通じて出張需要を獲得できるメリットがあることもアピールする。

パーフェクトトリップ・ネットワークのイメージ:プレゼンテーション資料より

このうち、TripLinkは今回発表した新サービス。Concur Travelに直接連携していない国内の旅行手配についても、各予約サイトとAPI連携、または各サイトの予約確認メールとの連携で旅程を自動生成し、コンカーのクラウドサービスで一元管理できるようにした。メール連携ができるのは現在、日本航空(JAL)と全日空(ANA)、JR東海(新幹線)の3社のみだが、2017年6月末までに約50サイトの予約確認メールに対応する予定だ。

パーフェクトトリップ・ネットワーク、出張に係る一連のプロセスのサポートイメージ:プレゼンテーション資料より

コンカーの三村社長によると、同社は日本では経費精算サービスで53%の市場シェアをとっているものの、BTM分野は「日本に本格的な市場があると言えず、(同社の取扱のなかで)まだ小さい」のが現状。日本企業のBTMは欧米企業に比べ、経営戦略上の認識や出張者の意識、および業務基盤の観点で、20年遅れているという。

しかし、コンカーでは2016年の新製品発表にあわせ、日本のBTM分野で「地ならしをしてきた」といい、契約数は11社に広がった。今回の新構想を機に企業の意識改革といった啓蒙活動も推進し、日本での本格的なBTM市場の開拓に取り組む。コンカーでは2020年までに、400社への導入を目指すとしている。

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