国の重要文化財に「電車」や「帆船」、日本初の地下鉄車両などレトロ乗り物3つが指定へ【画像】

1001号車内観:東京メトロ提供

文化審議会は2017年3月10日、文部科学大臣に国宝と重要文化財の指定について答申した。このうち、重要文化財の歴史資料の部に、上野/浅草間を走った「日本初の地下鉄車両1001号車」をはじめ、大正と昭和に日本を走った電車や帆船が選ばれ、重要文化財に指定される運びとなった。

詳細は以下の通り。

東京地下鉄道1001号電車 -地下鉄博物館保管

同車両は1927年(昭和2年)11月に日本車両製造株式会社が製造。日本初の地下鉄車両として同12月30日年に東京地下鉄道上野/浅草間2.2キロで走行を開始し、以後1968年4月まで約40年間にわたり、営団地下鉄(現:東京メトロ)銀座線で運行した。

1001号車外観:東京メトロ提供

文化審議官では上記の歴史に加え、全鋼製で自動扉、自動列車停止装置の採用といった防災・安全対策、内装や照明、吊手などの乗客向け設備に地下鉄らしい特徴がみられることを上げ、「我が国の地下鉄電車の嚆矢(こうし)であるとともに、後の地下鉄車両の規範となった車輌であり、鉄道史、交通史上に重要である」と評価した。

東京メトログループの所有物の重要文化財指定は初めて。電車(鉄道用電気車輌)としても、次に紹介する鉄道博物館所蔵の「ナデ6110形式6141号車」とともに、初の指定になるという。

1001号車内観:東京メトロ提供左上)リコ式吊手と間接照明、右上)予備灯とドア開閉スイッチ、下)開業当時の1001号車(イラスト):東京メトロ提供

ナデ6110形式6141号車 -鉄道博物館保管

同車両は1914年(大正3年)、鉄道院新橋工場で製造。山手線、中央線で使用された。鉄道院が1909年(明治42年)に最初に製造したボギー電車(車体前後に2輌の台車を装着した車両)ホデ6100形式の改良タイプで、ボギー電車として現存する最古の車両となっている。

ナデ6110 形式6141 号電車の展示の様子:鉄道博物館発表資料より

当時として大型の全長約16メートルで、木造の車体にはロングシートを設置。都市近郊の需要増大に対応するため、鉄道院で初の3扉車と統括制御装置を本格導入し、重連の高速運転を可能にしたのが特徴だ。文化審議官では「我が国における電車の近代化、標準化の歩みを知る上で、鉄道史、交通史上に重要」としている。

鉄道博物館で収蔵する国の重要文化財としては、「1号機関列車(150 形式)」「鉄道古文書(明治時代の鉄道創業期の鉄道建設・運営に関わる公文書群)」「1 号御料車(初代)」に次いで4 件目。

ナデ6110 形式6141 号電車の展示の様子:鉄道博物館発表資料より

日本丸 -日本丸メモリアルパーク

帆船日本丸は1930年(昭和5年)に川崎造船所で製造。公立地方商船学校の船員養成用練習船として作られたもので、全長97.05メートル、総トン数2278.25トン。国産初の大型ディーゼル機関を搭載するほか、航海日誌などの日誌類や建造時の図面類などの資料も多く残る。現在も帆船資格(平水区域航路練習船)があり、水上保存されている船舶としては初の重要文化財指定になる。(水上保存の船舶では、2016年に氷川丸が指定を受けた)

帆船日本丸:帆船日本丸記念財団提供

日本丸は1984年までの54年間、太平洋の訓練海域で延べ183万キロを航海し、約1万1500人の船員を養成。また、戦争期には内航物資や終戦後の引揚者の輸送なども行なった。文化審議官では海運業の発展に貢献した歴史とともに、「現存希少ない戦前期建造の船であり、当時の構造、艤装をよく伝え、我が国の海運史、造船技術史等の研究上に貴重」と評価した。

メモリアルパークと帆船日本丸:帆船日本丸記念財団提供

なお、今回指定された文化財は、4月19日~5月7日に東京国立博物館で開催する「平成29年新指定国宝・重要文化財」展で公開する予定。具体的な出品財等は後日公表される。

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