JTB総合研究所は、直近3年間に海外観光旅行をした韓国人(18歳以上の男女)に実施した調査結果をもとに、「韓国の旅行者の訪日旅行に関する調査研究」を発表した。
これによると、調査対象者の訪日旅行経験は83.8%と8割超。直近の海外旅行先では日本(28.1%)、ヨーロッパ(9.5%)、香港マカオ(8.4%)の順で、日本が圧倒的に多い。訪日旅行の旅行形態は個人旅行(61.5%)で、これは海外旅行全体のおける個人旅行の割合(53.1%)よりも高かった。また、交通手段もフルサービスキャリア(49.2%)とLCC(46.7%)が拮抗し、個人旅行に限ればLCCが53.3%で半数以上。海外旅行全体ではフルサービスキャリアが60.9%、LCCが35.8%なので、訪日旅行者のLCC利用が進んでいる。
また、訪日旅行の購入場所はウェブサイトが68.7%で、海外旅行全体の63.3%を上回った。個人旅行化が進み、LCCの利用率が高くなっているなか、訪日旅行ではオンライン購入が主流となっている。
さらに、「最後に経験した訪日旅行」では、3都市以上の訪問(73.8%)が1~2か所訪問を上回った。訪日経験が多いほど1度の訪日旅行で3都市以上を訪れる割合が大きく、移動距離も広範囲となり、入出国で異なる空港を利用する割合も高いという。
旅行先の意向では、「どちらかというと大都市より田舎」が訪日旅行では52.2%となり、海外旅行全体の27.9%を上回った。18~29歳は過半数以上が都市派だったものの、年齢が上がるほど田舎の旅行を希望する傾向が強いようだ。
日本を旅行先に選んだ理由では、「食」(38.9%)に続き、「個人的な興味や趣味にちなんだ場所がある」(31.2%)が2番目に多かった。また、日本で体験したいことは「温泉」(61.3%)、「ラーメンなどカジュアルな日本食」(40.8%)、日本人との交流に対する考え方では「日本の日常生活に触れたい」(48.6%)が最多で、ナイトライフでは「バーや居酒屋巡り」(48.4%)、「温泉巡り」(45.8%)など、飾らない日本の体験を希望していることがうかがえる。
これらの調査結果を踏まえ、JTB総合研究所では、韓国人の訪日旅行のパーソナル化を指摘。日本の伝統文化への関心は低く、高級よりもカジュアル感を好むことから、日常の延長線上として普段から楽しんでいることを体験できる気軽な国内旅行の感覚で行なっていると分析した。
また、韓国では「SNSの投稿で行ってみたいと思った場所に行った」(36.7%)が最も高く、SNSが外出のきっかけとなっている。そして海外旅行の考え方では「あらかじめ旅行先について詳しく調べやり直しがないようにしたい」(57.0%)が最多であることから、JTB総合研究所では発信内容に関して、日本国内の話題やトレンドをきめ細かく捉え、韓国で最も効果的なデジタルマーケティングによる手法でスピーディーに伝えることがポイントになると見ている。