ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏が2019年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
片野坂氏は、冒頭で2019年1月3日に同社グループ運航乗務員の乗務前検査でアルコール反応が検出され、計5便の運航が遅延したことを謝罪。昨年のANAグループについて、Peachとバニラエアの統合をはじめ様々なアクションを展開した1年だったと振り返る。2019年は新航空機の投入や長距離路線の新規開設、アジアの中距離路線就航に向けた本格的な準備にも着手。過去2年にわたり取り組んできた「安全と品質・サービスの総点検」について、総仕上げの一年にしていきたいと述べている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2019年 年頭挨拶 ―安全と品質・サービス、点検総仕上げの一年に
昨日弊社便において、運航乗務員の乗務前検査にてアルコール反応が検出されたことから、合計5便の運航便を遅延させました。ご搭乗のお客様をはじめ関係の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
昨年を振り返りますと、米国を中心とする世界経済の回復を受けて、日本経済は底堅く推移しました。我々航空業界も、堅調な航空需要に恵まれ、国際線旅客事業、国際線貨物事業は増収が続いております。ANAにおいては、「SKYTRAX 5スター」6年連続受賞、「Airline of the Year2018」受賞、日本生産性本部によるJCSI(日本版顧客満足度指数)調査の国際航空部門で初の第1位獲得など、ANAグループのサービス品質が、高い評価を得ることが出来ました。
また、Peachとバニラエアの統合を発表し、訪日外国人3000万人達成時に、Peachにご搭乗のお客様が選ばれたことは喜ばしいことでした。また、企業が持続可能な社会への寄与を目標としたESG経営、あるいは、国連が持続可能な社会発展を目指して提唱したSDGsも、ANAグループの中期経営戦略の中にしっかりと位置づけられています。これに基づきダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)、人権報告書、CO2削減活動など具体的なアクションが展開されつつあります。
さて、2019年の幕があきました。1989年以来30年ぶりの「改元」の年になります。4月30日に現天皇が退位され、5月1日に現皇太子が天皇に即位されます。また国内外で大きなイベントが目白押しです。Brexit、G20、参議院選挙、TICAD(アフリカ開発会議)、ラグビーワールドカップ、消費増税など、政治、経済、外交、スポーツは、我々航空ビジネスに直接、間接的に影響を与えるものです。加えて、米中貿易摩擦、米国の金利引き上げ、中国経済の動向、中東情勢は、株式市場、為替、原油市況などに大きなインパクトを与えるもので目が離せません。
2019年度においては、2017、2018年度取り組んできた「安全と品質・サービスの総点検」について、これまでの成果と不足点をしっかり認識した上で、今年度も総仕上げの一年として取り組んでまいりたいと考えます。品質・サービスを「ダントツの水準」に高めていきながら、お客様の信頼を取り戻し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年の成長ステージを迎えていきたいと思います。
新しい航空機も次々と入ってきます。ハワイ路線に投入するエアバスA380型機、アジア路線の増強に充てるボーイング787-10型機、待望のボーイング777型フレーター。そして路線展開においても2月の羽田=ウィーン線、9月からの成田=パース線など長距離路線を新規開設いたします。
Peachとバニラエアの統合が本格化し、いよいよアジアの中距離路線就航に向けた準備に入るとともに、ANAセールスは、新ブランド「ANA Traveler’s」を本格的に売り出していきます。
我が国は、少子高齢化、人手不足が大きな社会問題となる中、働き方改革が政府レベルで推奨され、ANAグループにおいても、社員の活力と生産性を向上させ、豊かな人生を実現させる様々な取り組みが始まっています。
総合トレーニングセンターは、グループを支える人財への投資であり、オペレーションのみならず安全啓発も含めて、全グループ社員が自分を磨く場として2020年に本格稼働していきます。また、女性、外国人、障がい者、シニア、LGBTなど多様な人材の活用で新しい価値創造を生み出していこうというD&Iの取り組みで、多様な人財を積極的に採用しています。
ANAグループは、未来社会のリーディングエアライングループを目指しています。AI、IoT、ロボットなどデジタルイノベーションを活用し、社員一人ひとりの新しい働き方とお客様の満足度を高めるために、ドローン事業、自動運転実証実験、ANA AVATARなど取り組みを進めていきます。
最後に、今年もANAグループ社員は、安全第一、「あんしん、あったか、あかるく元気!」をモット-に、お客様の信頼に応えて、世界のリーディングエアライングループを目指してまいります。
ANAホールディングスCEO
片野坂真哉