Trip.comグループCEOのジェーン・スン(Jane Sun)氏が、「新しい年の始まりにあたって:2021年は活力のある発展の年に」と題する年頭の抱負を発表した。
スン氏は、世界がパンデミックという不確実性に直面している中、引き続き「グローカル化」を目指すと表明。グローバルな旅行業界をサポートすると同時に、各市場の固有のニーズを満たすためにサービスをさらにローカライズしていくとした。また、「将来的には、アジアの消費者が世界経済の将来の決定要因になることは間違いない」とし、成長が過去10年間のトレンドを踏まえたものになり、現在の危機はこれまでのトレンドを加速させるとみている。
さらに、コロナ禍でのライブコマースシリーズを通じて、よりスマートなプラットフォームへと進化したと述べ、今後も旅行エコシステムに一貫して投資していく必要があるとの認識を示している。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
新しい年の始まりにあたって:2021年は活力ある発展の年に
「お客様が第一。パートナーの皆さまが第二。そして最後が私たち。」という信念に基づき、Trip.comグループは2020年を乗り越えてまいりました。パンデミックの発生により、世界は不確実性に直面し、旅行は停止状態に陥りました。Trip.comグループでは、お客様を第一に考え、パートナーの皆さまをサポートし、数千万件の払い戻しと予約の変更に対応しています。
私たちはすべての業務において、「グローカル化」を目指し、グローバルな旅行業界をサポートすると同時に、各市場固有のニーズを満たすためにサービスをさらにローカライズしています。苦境を一緒に乗り越えるために、国際機関と業界の仲間が一致団結して旅行の安全を確保しました。
国や地域のロックダウンにより、人々は家に留まることを余儀なくされ、事態の収束が見えないまま、旅行への欲求は高まり始めました。国々が感染の拡大を抑制し始めるにつれて、希望は地平線に輝いてきました。中国、日本、韓国、シンガポールなどの国々では、いくらかは回復の兆しも見えてきています。
国内旅行が自由となるにつれ、人々は家から外に出かける欲求を満たすことができるようになりました。中国では、国内観光がほぼ完全回復するほどの劇的な回復が見られました。10月の国慶節休暇には、短距離旅行でのホテル予約が前年同期比で60%近く増加し、1990年代以降生まれと2000年代生まれの旅行者が、10月の連休中の観光客の60%以上を占めました。
業界の統計によると、6億3700万件以上の旅行はこの休暇中に行われ、コロナの発生以来、最大の乗客数を記録しました。中国市場の短期間での回復は、市場の強さと活力を示しており、グローバル観光業界の回復のファーストステージでもありました。国々が感染の拡大を抑制し始めるにつれて、官民連携による国内観光キャンペーンが国内旅行を後押ししています。
シンガポールでは、「SingapoRediscover」というキャンペーンにより、全国の観光スポット、ホテルと交通機関で利用できる割引がシンガポール国民に提供されました。11月には、Trip.comグループはシンガポール政府観光局と「ガーデン・シティ」の共同マーケティングを実施するために、3年間のグローバルパートナーシップを結びました。不透明感が漂うこの時期に、必要な自信の後押しとなりました。
来るべき時代の徴候として、アジア太平洋地域では、旅行の回復が限定されるとはいえ、過去10年間のトレンドを踏まえたものになると考えられます。現在の危機はこれまでのトレンドを加速させています。世界経済フォーラム(WEF)によると、2030年までに、アジアは世界の経済成長の約60%を占め、世界経済に参入する24億人の中流階級のうち、アジア太平洋地域が圧倒的多数(90%)を占めると予測しています。このパンデミックをどのような形で乗り切れるかどうかはまだ分かりませんが、アジアの消費者が世界経済の将来の決定要因になることは間違いありません。
コロナの感染拡大が発生するよりも前から、アジア太平洋地域での旅行が好まれる傾向が強まっていました。アメリカ、イタリア、フランスよりも、日本、タイ、シンガポールが旅行先に選ばれています。これらの世界的な観光地は、常に旅行先のトップになるでしょう。この他にも、アジア太平洋地域には魅力的な旅行目的地が多くあります。アジアの中流階級の台頭により、2025年までに約9千万人の新たな旅行者が生まれることが予測されています。パンデミックと旅行回復の進行によってもたらされた地域を中心としたアプローチにより、アジア太平洋地域の地域観光はこれからも成長し続けていくことが明白です。
世界的なパンデミックによって世界が大きく変化してきています。しかし、この暗闇にも関わらず、私たちはインフラストラクチャを最適化、変革することで、明るい兆しを見出してきています。広範囲にわたるモバイルの普及と、精通したデジタル・ユーザーは、消費者から選択した製品やサービスに至るまでの道のりを短縮してきました。新たな消費者の風景は、新たな期待と消費の二極化をもたらし、商品やサービスは顧客中心であり続けなければなりません。
Trip.comグループは、今年のライブコマースシリーズを通じて、フレキシブルで、魅力的な割引価格で旅行商品をご提供したことで、全世界の旅行者から非常に好意的な反響をいただきました。コロナ禍は、私たちにグローカル化を維持し、コンテンツに重点を置き、商品やサービスの露出を最大化しながら、最高品質の需要に応えることで、ユーザーエクスペリエンスを高めることに焦点を当て、より強く、よりスマートなプラットフォームへと進化させてくれました。
世界の労働人口の10%が旅行業界に直接的に関わっているとされています。従って、このセクターで活躍する何億人もの人々に希望を与えるには、旅行の復活が必要です。この不確実で未曾有の苦境の中でも、自信を高め、モビリティと交換を提供するために、旅行エコシステムに一貫して投資する必要があります。
2021年の、「21」という数字は、西洋では古来より運とチャンスをつかむことを意味する数字だとされています。私たちは直面する不確実性に対処するためには、悲観的で憂鬱な態度ではなく、オープンで楽観的な態度で臨むことが理にかなっています。ワクチンの普及、エアバブル、渡航制限緩和などの革新的な旅行ソリューションへの期待を胸に、この危機の先に、私たちの業界にチャンスがあります。私たちは一致団結し、2021年を迎え、旅行の未来を切り開いて参ります。
Trip.comグループCEO
ジェーン・スン