2021年7月、日本に5番目の世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が誕生した。これを受け、鹿児島県奄美大島の6市町村(奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町、天城町)と沖縄県竹富町は、自然環境保護活動を目的とする資金調達プロジェクトを開始した。
ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングで、自治体が地域課題解決のために企画した事業に直接、寄付を募る。ふるさと納税総合サイトを運営するトラストバンクの「ガバメントクラウドファンディング」(GCF)を活用して実施するもので、今回は7市町村が、共通テーマのもとに連携して発信力を強め、各市町村の事業に寄付を募ることができる「広域連携CGF」の仕組みで行う。7市町村の目標額は2750万円。
このプロジェクトを発表する記者会見では、各自治体が行う活動についても発表された。
例えば奄美市では、喫緊の課題とするアマミノクロウサギなど野生動物の交通事故対策(ロードキル)として、約300万円の資金調達を目指す「奄美の森に棲む生き物たちへの思いやり運転普及&見守りプロジェクト」を企画。その使途として(1)小学生を対象に、環境学習とロードキル防止の啓発物を製作するワークショップの開催。(2)カメラによるアマミノクロウサギの見守り・調査、の2点を挙げた。
特に(2)の見守り・調査では、ナイトツアーなど観光利用が増加していることを受け、利用ルールを施行している市道での出没頻度や時間帯等を調査し、今後の対策に活かす考えだ。
奄美市長の朝山毅氏は、同プロジェクトの目的を「第一義は、世界自然遺産登録の意義を周知し、生物多様性の保存憲章を守りながら環境を整備すること。2つ目は、これらの資源を活用して産業振興を図り、地域への経済的な効果を波及すること」と説明。
また、宇検村長の元山公知氏は「日常の生活環境が世界の宝になったことは我々の誇り。自然とのバランスを保ちながら守り繋いできた先人に尊敬と感謝の念を抱くと同時に、その思いを受け継ぎ、持続可能な生活と自然環境を次世代に繋いでいくことは、我々の大きな使命」と話し、プロジェクトの意義を強調した。
広域連携GCFの実施期間は、2021年8月13日~11月10日の90日間。各市町村とも寄付に対し、世界遺産登録を記念した返礼品を用意する。各市町村の目標金額、使途などプロジェクトの詳細は以下のサイトへ。