兵庫県三木市と日本オラクルは2023年2月1日、スマートシティ推進に関する官民連携協定を締結した。今後、両者は同市の発展に向け、スマートシティ推進施策を共同で立案していく。第一弾として、三木市の地域資源の魅力をデジタルで拡張・発信し、旅先として選ばれる町となって活性化するためのスマート・ツーリズムに取り組む。
記者会見で三木市長の仲田一彦氏は、「2025年の大阪・関西万博に向け、インバウンドの呼び込みを含めて、三木市の魅力発信に取り組みたい」と意気込んだ。仲田氏は日本全体で少子高齢化と人口減少が進むなか、「狭い地域だけで盛り上がっても仕方がないと常に考えていた」とも話し、「地域課題を公民が連携して解決することが重要。幅広く連携協定を結び、街づくりをしていきたい」と意欲を話した。
日本オラクル常務執行役員クラウド事業統括の竹爪慎治氏は、「我々が考えるスマートシティが目指すところは、データ活用で住民がより安全、便利、かつ豊かな生活を実現すること。そのためには、自治体や住民の皆さんと考える共創が必須」と話し、安全安心なスマートシティを柔軟かつ迅速に実現することに貢献していく考えだ。
三木市は2022年、兵庫県のスマートシティモデル地区に採択され、行政手続きのスマート化などを進めてきた。今回、日本オラクルとの連携では、同社が各地でおこなってきたDX支援による課題解決や、タビマエからタビナカ、タビアトまでの総合的なアプローチで地域の魅力を発信していくスマート・ツーリズムに期待する。
実証実験として、旅先を検討するタビマエに注力した施策を実施。例えば、同市の魅力や体験できることを伝えるため、観光地をメタバース上に再現して没入体験ができる「デジタルツイン観光体験」で来訪意欲を喚起する。さらにツアープランニングや体験予約、通訳サービス、特産物購入などをセットにして提供することで、同市への旅行計画につなげることも考えているという。
三木市総合政策部縁結び課主幹兼地方創生係長の清水暁彦氏によると、同市はアウトドアリゾートなどの観光施設はあるが、旅先としての知名度は低い。ただし、豊臣秀吉の治世から続く大工道具を中心とした金物産業や、酒米の最高級品「山田錦」の日本一の産地といった地域資源があり、これらを同市ならではのコンテンツとして打ち出していきたいとしている。
清水氏は、「スマート・ツーリズムでタビマエからタビアトのタッチポイントを整備することで、金物を購入した外国人観光客が帰国後もその商品を使い続けたい場合に、つながり続けることができる。観光は地域資源や、人と人がつながる産業。いろんな人がデータを通じて出会い、そして履歴が残っていく。この仕組みは、スマートシティの街づくりの中でも役立てられる」との考えを示した。
連携の内容
- 三木市が抱える地域課題の把握及び課題解決のために必要なデータ、情報の提供に関する事項
- 三木市の観光都市化実現に向けたデジタル施策に関する共同検討・実証・社会実装に係る事項
- 三木市の都市OS(データ連携基盤)実現および活用に向けた検討に関する事項
- 「Oracle Cloud」を活用した施策の提案に関する事項
- その他三木市のスマートシティ推進の施策立案に関する事項