【年頭所感】日本旅行 代表取締役社長 小谷野悦光氏 ―訪日客に鉄道旅行を促進、地域間の国際交流を生み出す

日本旅行の代表取締役社長である小谷野悦光氏が、2024年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

小谷野氏は、昨年のコロナ感染症5類移行に伴い、人々の旅行意欲が鮮明に回復している点に言及。訪日旅行者に鉄道旅行を促進するといった取り組みなども通じて、日本国内の訪問先の地域分散を実現する考えとともに、動きが戻らない日本人海外旅行市場についても、地域間の国際交流を生み出す仕組みづくりを推進していきたいと述べている。

また、新たな事業の推進においては十分なリスク対策がなされていなかったことについて反省の意を表明。今後は社会からの信頼を取り戻すべく、グループ全体で再発防止に向けた仕組みや体制の構築を徹底していくとしている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


年頭所感

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2023年5月、およそ3年半の長きに渡り向かい合ってきた新型コロナウイルス感染症も、晴れて5類移行となりました。以前のような日常が取り戻されていく中、人流および経済活動が活発化し、観光産業におきましても、人びとの「旅行」に対する意欲の回復が鮮明に感じられるようになりました。

国内旅行も回復をしておりますが、特にインバウンドにおいては、コロナ前を上回る水準に急回復という状況が続いております。一連の旅行需要の回復は、旅行業界を含む全ての観光産業で働くものにとって大いなる吉報として受け止められ、未来へつながる道が明るく照らされたことと思います。

本年につきましても、国内旅行・インバウンドともに、一層の旅行需要の回復が見込まれております。特に、3月に開業する北陸新幹線の金沢~敦賀間延伸につきましては、JR西日本グループである当社として、沿線地域を訪れる新たな需要の創出に注力すると共に、沿線自治体とも連携して地域の社会課題の解決に貢献してまいる所存です。インバウンドにつきましても、そのあまりにも急激な回復からオーバーツーリズムが再燃されるようになっております。環境意識の高い訪日旅行者への提案として、CO2排出量の少ない鉄道利用の促進をはじめ、観光地の環境保全につながるカーボンオフセット型の旅行コンテンツを地域と共創しております。このような取り組みを通じ、日本国内の訪問先の地域分散を積極的に仕掛けていくことで、その解消の一助につながるものと考えております。また、上記と比較し動きの戻らない日本人の海外旅行につきましても、インとアウトの不均衡の改善を意識し、自治体等と連携して地域間の国際交流を生み出す仕組みづくりを推進してまいります。

最後になりましたが、コロナ禍におきましては、企業としての生き残りをかけ、従来の旅行会社の事業領域の枠を超える大きな構造変化を続けてきました。その過程において、社会に対し信頼を裏切るような事象を続けて発生させてしまいました。新たな事業を推し進める中で、リスクに対する十分な対策を講じることができていなかったものと反省をしているところです。社会からの信頼を取り戻すことができるよう、特にコーポレートガバナンスは企業活動における全ての前提であるとの意識のもと、再発防止に向けた仕組みや体制の構築を、日本旅行グループ全体で徹底的に共有・実践して参ります。旅行業が将来に向かって持続可能で、未来ある豊かな産業であることを誇りに思えるよう、事業の拡大を支えている社員のエンゲージメントに向き合いながら、双方で高めあっていく関係を築いていきたいと思います。

本年も引き続き皆さま方のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申しあげます。

株式会社日本旅行

代表取締役社長

小谷野悦光

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