JATA田川会長、2015年は訪日・海外旅行で「3000万人はクリア」へ -2015年新春会見

日本旅行業協会(JATA)田川博己会長(JTB代表取締役会長)は2015年1月8日に開催した新春記者会見で、2015年におけるJATAの活動方針を語った。

田川氏は2014年を「円安が吹き荒れた年」とし、海外旅行には逆風だったが、訪日旅行は盛況となり、国内旅行もあわせて順調に推移したと認識。2015年は「双方向で3000万人はクリアする」と述べ、4000万人交流時代に向けた基礎を具体的に作る「節目の年」との重要性を強調し、この状況下で行なう重点事業と担うべき役割を示した。

▼重点事業

【海外旅行】

中・韓の回復とMICE・商用にも焦点

重点事業で第一にあげたのが、海外旅行の需要喚起と政策提言。需要喚起ではまず、市場回復のポイントとする韓国・中国の復活に取り組む。韓国については日韓国交正常化50周年の取組みとともに、昨年のメガFAMで視察した地方への企画造成などを促し、安定的な商品拡充を図る。中国については3月に役員会を現地で開催し、意見交換をする予定。いずれも「早期に具体的な策を出す」とし、両国合わせて2012年度レベルの700万人の送客を目指す。
また、政策提言では方向性として「これまでは海外旅行に行くのが当たり前という前提だった」と振り返り、今年は海外旅行に行く必要性や意義を訴えるところから行う方針。教育旅行やMICE、商用・視察、留学等にも光を当てた内容をまとめているところ。

さらに空港のCIQの地方分権など、旅行しやすい環境整備に向けた制度やハード的な部分にも踏み込み、全体構想で政策提言をする。有給休暇取得や働き方など、観光の管轄省庁を越えた働きかけも行なっていく。

【訪日旅行・国内旅行】

質の向上と東北復興

成長が確実な訪日旅行は「質では大きな問題を抱えている」とし、ツアーオペレーター品質認証制度の世界的な認知向上に取り組む。国内旅行では、引き続き東北の復興支援活動と宿泊旅行の拡大に力を入れる。東北復興では阪神淡路大震災の復興に10年を要したことを踏まえ、10年・15年先を見据えた取り組みをする方針だ。


▼業界課題・変化への対応

【経営諸課題】

経営課題では人材獲得と育成の強化に取り組み、女性や外国人などダイバーシティの推進も旅行業界が率先すべく、会員各社に促す。また、「3連休の経済効果は大きい」としてハッピーマンデーの維持を働きかけ、本体運賃との一体化を求める燃油サーチャージに対しては「旗は絶対に下ろさない」と、JATAの意思を強調。


【新たな課題】

田川氏はこの数年のインバウンドの急速な拡大により、航空座席やバス、宿泊施設など仕入れ・手配をはじめとする新たな課題が出てきていることを指摘。3000万人・4000万人交流時代を迎え、さらにツーリズムのすそ野が広がる中、「旅行業内の法律や制度だけでは解決できない問題もある」とし、横断的な議論の必要性を述べた。

その際は、日本が過去に経験したことのない状況であることから、ドイツやフランスなど先進する海外の観光政策を見習うべきと提言。また、「インバウンドは国内に関わる。観光庁から国交省全体、経済産業省、環境省、財政・財務など多方面の問題にも発展する」とし、関係省庁と一緒に解決する流れを作っていくことが大切だとも語った。


【国際化とツーリズムEXPOジャパン】

田川氏は、JATAが「日本のツーリズムのグローバル化に果たすべき役割がある」とし、これまで以上に国連世界観光機関(UNWTO)や世界ツーリズム協議会(WTTC)など、国際機関との連携を強化していく考え。英国のWTMやアメリカのPowwowでの議論を踏まえ、「世界は日本よりもはるかに急ピッチで動いている」と実感を語り、それを日本で具現化するのが昨年初開催した「ツーリズムEXPOジャパン」であると強調。日本のツーリズムの国際化の象徴とすべく取り組む。

まずはリオデジャネイロオリンピック1か月後に開催され、世界の注目が高まることが予想される2016年の開催を直近のピークとし、2回目となる今年はそのステップアップをはかる重要な年として力を入れる考えを示した。

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