外国人の買い物サポート実証実験で結果発表、百貨店の自動認識リストバンド活用で人気1位は宝飾品

自動認識システム開発製造のサトーは、経済産業省主催の「ID連携トラストフレームワーク・ビジネスモデルコンテスト」で、最優秀賞を受賞したビジネスモデルの実証実験結果を発表した。

実験内容は訪日旅行の買物シーンで、外国人客に近距離無線通信「NFC」タグを内蔵したリストバンドを配布し、専用端末にかざして商品や販売場所などの情報を提供するもの。リストバンドには予め、利用者の承諾の上で属性や関心などを登録する。

同社のインバウンド事業を担当するリテール事業部グループ長の平田和也氏によると、同事業は訪日客の限られた時間内での買物の利便・効率化を図り、訪日客及び店舗側にも有益なサービスにするのが目的。利用者の興味関心に応じた商品を示すリコメンド機能と、商品場所へのナビゲーション(フロアマップの出力)、さらに店舗側には登録データを基にした属性別の行動データの収集ができるのがポイントだ。

実証実験は2015年2月18日~2月22日の5日間、銀座三越の協力を得て実施。事前登録をして利用した人が398人、受付せずに端末操作のみで利用した人が659人で、1057人が利用した。中華圏の連休・春節期間に行なったこともあり、その6割が中国からの訪日客。利用者の人気商品カテゴリは1位が宝飾・貴金属、2位が婦人服、3位が子供雑貨になった。

さらに平田氏によると、旅行者からは「便利な上に美しい商品紹介がされて素晴らしい体験だった」「歓迎されていることが分かった」「欲しい商品が見つかった」などの感想が寄せられた。店舗側からは「商品の案内と売り場への案内を同時に行なうのは実は大変な作業だが、今回のサービスでは案内が楽だった」「属性別に興味ある商品の見える化ができた」など、好意的な意見が多かったという。


IMG_2696受賞したビジネスモデルは本来、一度の登録情報で宿泊や移動、観光など旅行中の各タッチポイントで事業者と旅行者に情報を提供することを提案したものだが、今回の実証実験は買物のタッチポイントに限って行なったもの。平田氏は「1つの商業施設では限定的だが、本来は地方創生にも寄与できるコンセプトのもの」とアピールし、今後は地域や町単位での実証実験を行なえるよう、検討を進めている。

なお、サトーでは自動認識を活用したインバウンドソリューションの総称を「インバウンドワークス」とし、すでに免税販売支援システムを販売。10月1日には、多言語情報提供サービス「インバウンドワークス・マルチリンガル」の販売を開始する。外国語の案内を希望する商品について、2次元コードやNFCを入れた商品POP・シールから翻訳、表示まで、ワンストップのパッケージで提供するするもので、小売や小売卸業をターゲットとして想定している。


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