日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は、旅行業界のキーマンが集結する恒例の新年会を開催した。新年会には日本人の海外旅行で苦境が続く中、協会会員となるツアーオペレーターの他、旅行会社、政府観光局などのトップが集結。また、ベルギー、マレーシアなどをはじめとした19の大使館から各国大使が参加し、業界が一丸となって海外旅行の復活に向けた取り組みをしていく方針を確認する場となった。 *写真はOTOA会長の大畑氏
OTOA会長の大畑貴彦氏は、昨年の逆境続きの海外旅行を「ランドオペレーターやアウトバウンドへの依存度の高い旅行会社も青色吐息そのものだった」と振り返った。テロや政情不安の他、要因として特に若者世代の影響を指摘。国が推進するツーウェイツーリズムの重要性の観点から、「国にしかできない施策が必要」と考えを示した。
具体的には、若い世代のパスポート取得無料化や子供や孫の海外旅行に充てる資金の贈与非課税など提言。民間の力には限界があり、“実のあるツーウェイツーリズムの推進”を関係各所の協力を求めた。
日本旅行業協会(JATA)からは、会長の田川博己氏が登壇。大畑氏と「思いは同じ」として、JATAとして海外旅行の復活への決意を述べた。田川氏は、日本が世界的な観光立国を推進するにあたって世界と対峙する際、ツーウェイツーリズムの振興が重要な点を強調。日本人の出国者数が減少していくことを放置することは「観光立国としての姿勢が疑われる」と指摘し、関係各所が海外旅行の推進をしていくことを求めた。
JATAは、同時多発テロ事件発生後のフランスに向けて1月には現地視察団を派遣することを決めている。こうした具体的な取り組みを推進していくことで、旅行業として海外旅行を活性化させていく方針だ。
OTOA会員企業のUTIジャパン代表の井上照夫氏は、こうした活動で「会員一同が勇気づけられている。我々もできる限り協力したい」として、JATAの取り組みを評価した。
新年会には、観光庁から次長の蝦名邦晴氏も登壇。蛯名氏は、行政としてツーウェイツーリズム推進をしていく方向性があることを改めて強調。拡大するインバウンドの重要性とともに日本人が海外旅行をすることが、さらなる観光産業の発展につながるとの考えを示した。そのうえで、今年を「次のステップに踏み出す年」と位置づけ、関係者との連携で観光立国の推進をしていく決意を述べた。
トラベルボイス編集部 山岡薫