デルタ航空(DL)は、来月9日に再開される羽田空港の昼間時間帯発着枠を巡る日米航空交渉の行方に危機感を強めている。同社は「日米が交渉している枠組みが決まれば、我々は米国と成田空港を結ぶ7路線すべてから撤退せざるを得なくなる」とコメント。「羽田空港の部分的な開放は、成田から羽田への乗客の流失を招き、国際ハブ空港としての成田を殺しかねない」と主張している。
昨年12月に行われた日米航空交渉では、未配分の12枠について協議が行われたが、合意には至らなかった。現在交渉のテーブルにのっているのは1日1〜2便の発着枠配分。デルタ航空は、この配分では成田のハブ機能を羽田に移すことは不可能と主張。さらに、ユナイテッド航空(UA)とアメリカン航空(AA)はそれぞれ日本にアライアンスパートナーと太平洋路線で共同事業を展開しており、事実上、同社よりも多くの羽田発着枠を持つことになるため、複占状態が生まれ、消費者の不利益につながる可能性があるとの見解を示している。
日米は2010年にオープンスカイ協定を締結したものの、羽田はその対象から除外。深夜早朝時間帯での発着枠割当にとどめてきた。デルタ航空は「米国当局は、日本に対して、羽田の完全な開放か現状維持での羽田と成田の運用を主張すべき」とのスタンスを示している。
同社は現在、成田をハブ空港としてミネアポリス、デトロイト、シアトル、ポートランド、ロサンゼルス、ニューヨーク、アトランタの各路線を運航。また、アジア9地点とハワイなどの太平洋の島々にネットワークを広げている。このほか、成田にはテクニカル・オペレーション、貨物オペレーション、空港カスタマーサービス、客室乗務員のベースを置いている。
一方、羽田については、深夜早朝時間帯枠を利用して、シアトル線を運航していたものの、採算が合わず昨年9月末に撤退。現在の羽田線はロサンゼルス線のみとなる。撤退したシアトル線の枠は、代わりにアメリカン航空に付与され、今年2月11日から運航を開始する。