世界大手ツアー予約「ビアター」が日本市場に本格参戦、その狙いと背景を責任者に聞いてきた

「ビアター」ウェブサイト

米サンフランシスコ拠点の現地ツアー・アクティビティ予約サイト「Viator(ビアター)」は、日本でのビジネスを本格化する。

新たにアジアパシフィック地区ジェネラルマネージャーに就任したアニタ・アイ氏は、「日本はアジアで2番目、世界でもトップレベルの旅行市場」と評価。成熟した旅行市場として、インバウンド、アウトバウンド双方の市場でシェア拡大を狙う。さらに、サービスメニュー改善をはじめマーケティング戦略策定、戦略的ビジネスパートナーシップの構築などを加速していく。

ビアターは1995年創業のアクティビティ予約の先駆けといえる世界大手サイト。現在のところ、世界165カ国4000以上のデスティネーションで3万2000以上の観光ツアーやアクティビティを取り扱っている。80万件以上のレビュー情報や映像情報、専用アプリなどを通じて旅行者が求める旅行情報を配信。「旅の達人チーム」の介在や年中無休のカスタマーサービス、最安値保証といった取り組みも充実している。

2014年8月にトリップアドバイザーの傘下に入ったことで、「世界最大の旅行市場であるアジア太平洋に投資するリソースを得ることができた」(アイ氏)ことから、日本を含む同地域での本格展開を決めた。

日本市場の現状については、インバウンドは訪日旅行者の増加にともなって成長。「たとえば、東京から富士山への日帰りツアーは、グローバルでもトップクラスの人気」になっているという。一方、日本人の海外旅行(アウトバウンド)では、アイ氏は「世界的に見ても市場規模は大きく、ポテンシャルは高い」との見方。「日本市場を伸ばすことが(自身の)タスクのひとつ」と話し、強化ポイントとして挙げた。


強みはスタンダード化とデスティネーションエキスパート

ビアターのアジアパシフィック GM アニタ・アイ氏

ビアターは2011年3月に日本人旅行者向けに日本語サイトを開設したが、その直後に東日本大震災が発生したことから、一時活動を休止していた。

現在のところ、日本には先行するアクティビティ予約サイトが複数あり、ビアターは後発となる。アイ氏は、その競合他社との違いについて、「ビアターは、ある程度スタンダート化しているところが特長で、幅広い層に楽しんでもらえる値段を提供できる。テーラーメイドにはそのよさがあるが、値段が高くなってしまう」との意見。グローバルな共通プラットフォームとしての強みを強調した。

さらに、「地域ごとにデスティネーションエキスパートがいることも強み」とする。インバウンド市場向けには日本人チームも組織されていることから、「小規模なサプライヤーでも世界に向けてプロダクトを提供するお手伝いができる」とアピールした。

一方、アウトバウンド向けには、同社が扱うすべての商品を日本語で提供。特に日本語ガイドが付いているアクティビティやツアーを重点的に紹介している。また、日本円での支払いにも対応しているという。

このほか、アイ氏は提供している商品についても言及。現地アクティビティに加えてシティパスや移動手段をラインアップに載せているほか、同社独自の商品として、待ち時間なしに入場できる電子バウチャーも用意。たとえば、バチカン博物館、ニューヨークのワン・ワールド・トレード・センターなどで利用が可能だという。


トリップアドバイザー傘下の強みを生かして認知度向上

今後、日本市場での認知度向上については、「トリップアドバイザーとは独立したビジネスを展開しているが、その一員であることは大きな強みになるだろう」とアイ氏。また、B to B to Cでは、オンライン上のアフィリエイトパートナーを重視。「OTAなどとのパートナーシップもオープンな姿勢で臨みたい」との考えを示した。

アジア太平洋で特に注力していく市場は、同社が成熟したFITマーケットがあるとみている日本、シンガポール、香港。アイ氏は中国市場については「現在はグループ旅行が主流。ただ、早い段階で参入する必要がある」と話し、日本などとは違う戦略でビジネス展開していく意向を示した。

なお、アジア太平洋の事業では、現在のところ現地オフィスは構える計画はない。サイトの最適化などのオペレーションはサンフランシスコで行う方針だという。

日本では、近年、オンラインのアクティビティ予約ではOTA各社がしのぎを削っているところ。同社が日本やアジアの事業を強化することで、この分野のサービスがさらに活性化されそうだ。

「ビアター」ウェブサイト

聞き手:トラベルボイス編集部 山岡薫

記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹

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