インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)はこのほど、会員組織と消費者のつながりをテーマにしたレポート「価値ある会員コミュニティ: 一体感と個性を同時に求める時代に、価値ある会員コミュニティを育てるために」(Meaningful Membership: Transforming Membership in The Age of I)を公開した。
企業が会員コミュニティを通じてブランドに対する信頼感を提供し続けるためには、会員個人との感情レベルのつながり(エンゲージメント)が重要だと提起するもの。
このレポートはスイスで開催された世界経済フォーラムにて発表されたものだ。
そのなかIHGは、消費者がコミュニティを通じた「一体感(Inclusiveness)」と自分らしさを示す「個性(Individuality)」の両方を求めている点に注目。表題にある「The Age of I」には、"両方のIが重要である"という意味を込めたという。
この傾向の背景にはソーシャルメディアの利用拡大がある。つまり、自分と共通する興味・関心・意見を持つ人々とのコミュニケーションが日常的に浸透していることが、「両方のI」の要因にある。そしてその傾向は、企業ブランドを通じた会員コミュニティでも同様であり、企業側はそのニーズにこたえる必要があるとする。
レポートでは、こういった消費者の要求に応えるために企業が対処すべき具体策が複数提起された。
例えば、企業は会員個人に対して「会員として所属することに誇りを持てるような配慮」が必要であると同時に、「いま、確実にメリットを提供すること」が重要であるとする。
システム上で会員に示す言葉ひとつをとってみても、機械的な印象を与える「ログイン」や、入会・登録といった単なる"行為"を意味する「サインイン」ではなく、「サインオン」を使うことで、会員コミュニティとのつながりを求める個人の期待に応えることができる。ただし、会員はそのコミュニティから「すぐに」メリットを受けることができなければ、企業ブランドの品質や信頼性に疑問を感じ、期待外れだと判断してしまう恐れがあるという。
また、会員コミュニティを構成する人々は、高い目的意識を通じた連帯感に対する期待もある。たとえばCSR(社会貢献)活動の取り組みはその期待に沿う一例になるとする。
さらに、会員制度を運営する企業には、社内コミュニティの構築が求められることにも触れる。社員一人一人が高い意識を持って「社内風土」「社内の一体感」を醸成する取り組みがあってはじめて、社外からの信頼も築かれるという分析だ。
同社のCEO リチャード・ソロモンズ氏は本レポート公開に際し「デジタル化が進む現代にあって、企業が社外との間に作り出しているつながりはビジネス取引だけにとどらない」とコメント。事業の成功や存在意義の維持を通じて信頼を提供し続けるためには、感情のレベルにまでにおよぶ「エンゲージメント(関わり合い)が不可欠だとしている。
レポートやそのポイントを表現したアニメーションは、以下ウェブサイトから参照可能だ。
レポート全文(PDFファイル、23ページ、英語)アニメーション(英語)