東京都はこのほど、2017年度に実施する観光施策のアクションプラン「PRIME 観光都市・東京~東京都観光産業振興実行プラン2017~」を発表した。2020年の国内外旅行者数に加え、「外国人リピーター数」「消費額」の具体的な目標値を設定。観光産業振興に向けた6つの戦略とそこで展開するプランを記載したもの。
まず、総合目標として掲げた数字は以下の5点。
- 訪都外国人旅行者数:2020年に2500万人、2024年に3000万人(2020年の目標値は2015年の約2倍)
- 外国人リピーター数: 2020年に1500万人、2024年に1800万人(訪都外国人旅行者数目標値の6割)
- 訪都外国人消費額:2020年に 2兆7000億円(2015年の約4倍)
- 訪都国内旅行者数:2020年に6億人
- 訪都国内旅行者消費額:2020年に6兆円(2015年比約1兆円増)
また、これらの目標達成に向けて、(1)消費拡大に向けた観光経営、(2)集客力が高く良質な観光資源の開発、(3)観光プロモーションの新たな展開、(4)MICE誘致の新たな展開、(5)外国人旅行者の受入環境の向上、(6)日本各地と連携した観光振興、の6つの戦略を掲げている。それぞれの概要は以下のとおりだ。
(1)「消費拡大に向けた観光経営」では、将来の東京の産業を牽引するビジネスに視野を置くことを強調。併せて人材育成や外国人旅行者集客の基盤となる経営インフラも充実する。「旅館のブランド化」に向け、これまでにない取り組みの必要性も唱えた。
(2)「集客力が高く良質な観光資源の開発」では、新たな視点をもった観光資源創出を提示。多摩・島しょ地域ならではの自然や農林水産業、マンガやアニメなどのコンテンツ活用などを通じた観光振興に注力する方向性を示した。
(3)「観光プロモーションの新たな展開」では、海外各国・各地の特性に着目した分析にもとづくPR活動に取り組む。例えば欧米豪地域や富裕層に特化した誘致を検討すると同時に、海外の若い世代にフォーカスし、将来、東京への来訪が期待できる層への働きかけもおこなう。
(4)「MICE誘致の新たな展開」では、東京での国際会議等の創出のほか、外国企業の会議や報奨旅行誘致を推進。美術館や博物館、庭園といった場所を活用したユニークべニューの実施のほか、都市機能や受け入れ環境を充実していく。
(5)「外国人旅行者の受入環境の向上」では、観光案内サービスの向上とともに、障がい者や高齢者も含めたあらゆる旅行者が快適に観光できる「アクセシブル・ツーリズム」の基盤を作る。ここではデジタルサイネージや観光アプリなどICTを活用したコンテンツ提供を進めるほか、多言語コールセンターサービスの導入、観光スポットにおけるベンチの増設、クルーズ客船の受け入れ能力向上など広範囲を対象とし、ソフト面・ハード面両方からの施策を展開する計画だ。
(6)「日本各地と連携した観光振興」では、東京を玄関口として、旅行者を国内各地に送客できる「ゲートウェイ」役割の充実をおこなう。これまで連携してきた地域に加え、九州や沖縄などとの連携を進めるほか、都内で開催される物産展やアンテナショップのイベントなども活用する方針としている。