東京商工リサーチが発表した2016年度(2016年4月~2017年3月)の旅行業・倒産状況によると、倒産件数は前年よりも2件増の27件だった。負債総額は前年度の7倍となる214億2400万円。負債総額のうち、3月に破産したてるみくらぶ(負債総額151億1300万円)と関連会社の自由自在社(負債総額34億円)の合計が185億1300万円を占め、負債額を一気に引き上げる結果となった。
旅行業の倒産状況の推移は以下のとおり。
同社によれば、てるみくらぶの負債総額は歴代4位。歴代1位のジェットツアー(負債総額252億3500万円)の旅行客債権者が3581件だったことと比較すると、てるみくらぶの同債権者(約3万6000件)は10倍以上にあたり、被害規模の大きさが甚大となっている様子がわかる。同社はこの状況について、「ネット社会における旅行取引に警鐘を鳴らす事例」であると分析。消費者がネットを通じて簡単に旅行を申込できる一方で、資金繰りのために廉価販売をおこなう業者が倒産すると被害者が大きく広がる恐れがあることが明らかになったとしている。
宿泊業の2016年度の倒産件数は前年比18件減の74件。負債額は344億2400万円で、昨年(542億2000万円)よりも約200億円減。1997年の72件以来19年ぶりに70件台の低い水準となった。ただし、地方を中心に業績不振による破産が多く発生しており、原因別では全体の66.2%が「販売不振」、倒産形態別では清算型の「破産」が72.9%と7割以上を占めたのが特徴だ。
2016年の負債総額最大の倒産企業は長崎県雲仙市の東洋館(2017年3月に倒産、負債総額37億円)。次いで、岩手県盛岡市のMCH(2016年12月に倒産、負債総額30億9100円)だった。