日本旅行業協会(JATA)は、てるみくらぶの経営破綻に伴う弁済申請書類の請求数が、5月9日現在で約3万2000件、申告金額は約86億円になったと発表した。関連会社の自由自在については約370件・約5600万円。
書類請求は5月末まで受け付け、6月中旬ごろに認証申出の案内書類を送付。認証申立の受付開始は6月下旬ごろになる予定だ。年内の還付を目指すが、対象件数が非常に多いことから、必要書類は観光庁の確認のもと、可能な範囲で簡素化するという。
再発防止の勉強会を開催
JATAでは再発防止を目的に「JATAの弁済制度勉強会」を発足し、先ごろ開催。法制委員会、弁済委員会、経営委員会の3つの委員会で構成し、観光庁の「新たな時代の旅行業法制に関する検討会 経営ガバナンスワーキンググループ」と同様に、弁済制度と経営ガバナンスのあり方を検討し、同ワーキンググループにも報告する。
JATA理事で事務局長の越智良典氏は、「再発防止をしなければ旅行業界の信頼を損なう大きな危機という厳しい認識をもっている」と述べた上で、「従来の弁済制度でも過去の案件では8割が100%弁済できている」と、今回がレアケースであることも強調。制度そのものの変更ではなく、従来の制度を補う形で検討していることを説明した。
その一例として、貸切バスの通報制度やボンド保証制度の加入促進などをあげ、「いくつかの案を組み合わせる形で知恵を出そうとしている」と、方向性を示した。
ただし越智氏は、「なぜ取引額相当の負債額を抱えることができたのか想像を絶する」とその異例さを示し、「有効な制度設計が求められるが、その方法を出すには、(これだけの件数と負債額となった)原因を知ることが必要」と述べ、実態解明を訴えた。
内定者面接で28名を採用
また、てるみくらぶの2017年度入社予定者の学生を対象に先ごろ開催された合同面接会では、トラベル懇話会の協力のもと 旅行業界から40社が参加。学生は35名(男12名、女23名)が参加し、14社が28名(男10名、女18名)を採用した。
面接会の運営を担当した株式会社ジャタ代表取締役社長の遠藤洋三氏によると、参加した旅行会社からは、「学生の旅行業界で働きたいという強い意思を感じた」。「前向きで、通常採用の学生と遜色のないポテンシャルのある人材が多かった」などの感想があったという。
今回参加した40社は、大手から個人旅行や団体旅行、業務渡航などの専門系の旅行会社をはじめ、システム、ホテルなど旅行業界の様々な会社が出展。てるみくらぶは個人旅行商品がメインのため、当初は企画を希望する学生が多かったが、面接会で旅行業界の多様性に触れたことで、採用会社は多岐にわたる。
なお、JATAによると、学生が就職先にてるみくらぶを選んだ決め手は知名度であり、就職活動では面接会の参加企業に応募をしていない人も多かった。JATAとしても面接会を通して、学生は自分が知っている企業に就職を希望することを改めて実感したという。採用会社名と入社人数は以下の通り。
【採用会社名と入社人数 2017年5月10日18時現在】 ※順不同、番号は面接時のブース番号
- プロコ・エアサービス:2名(男2、女0)
- 阪神トラベル・インターナショナル:2名(男1、女1)
- 日本システム開発※JATA国内協賛会員:1名(男1、女0)
- JTBグループ:打3名(男1、女2)
- プラスワン教育:1名(男1、女0)
- 国際サービス・エージェンシー:2名(男1、女1)
- シイ.エイ.エヌ.:1名(男1、女0)
- パーパスジャパン:2名(男0、女2)
- イオンコンパス:1名(男0、女1名)
- 名鉄観光サービス:3名(男1、女2)
- 阪急交通社:1名(男0、女1)
- 日本旅行オーエムシートラベル:4名(男0、女4)
- 東武トップツアーズ:4名(男1、女3)
- エヌオーイー:1名(男0、女1)