JTBは2017年5月30日、欧州で現地インバウンド旅行手配の大手Kuoni Global Travel Service(クオニイ・グローバル・トラベルサービス、GTS)を株式譲渡により買収すると発表した。購入価格や条件は開示されていない。
クオニイGTS社は、スイスに本社を置く、レジャー・法人分野・MICEに強みを持つBtoB企業。特にアジア市場に注力しており、売上げの約6割がアジアからのもの。 欧州で、民間企業から団体・協会、スポーツ関連企業など幅広いネットワークを持ち、包括的なサービスを提供している。2016年の実績では、従業員数は1400名、売上高は5億8900万ユーロ(約705億円)。
JTBは、同社を傘下におくことで、アジア発の欧州行きインバウンド事業を拡大したい考えだ。また、日本市場向けの欧州発商品を拡充することで個人旅行への対応を強化するほか、高品質なMICE事業の展開を図る方針。
これらの取り組みによって、JTBは世界一のDMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)となるべく進化を目指す。
なお、GTSは、欧州を拠点とする旅行大手クオニイ・グループのひとつ。昨年5月に、スウェーデンの投資会社EQTがグループの全株式を取得しているが、その後も独立性を保った営業を行ってきた。GTSでは、JTB傘下入り後も同社以外の旅行会社との取引を継続する方針を明らかにしている。
クオニイ・グループは今年4月にホテル流通などの個人旅行の手配部門であるGTAをホテルベッズに売却。さらに、団体手配部門でアジア、中東、米国の手配機能をトーマス・クック・インディア・グループに譲渡した。
世界の旅行BtoB会社では、近年、大きな再編が続く。国内ではHISが欧州に強みを持つミキ・グループを連結子会社化したところ。旅行大手がBtoB企業を傘下に置く動きが連続しており、今後の動向に注目が集まる。
関連記事>> JTB連結決算は減収減益、個人旅行とネット販売に課題