観光・宿泊産業の春闘2017、ベースアップ達成が増加、賃金改善額も引き上げに

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は2017年7月13日に記者会見を開催し、2017年春期生活闘争の妥結結果を発表した。

春闘で要求書を提出した134組合(観光・航空貨物業74組合、ホテル・レジャー業60組合)のうち、合意に至ったのは99組合で昨年より14組減少。賃金改善での合意も84組合で、昨年より20組少ない結果となった。

ただし、実質的な賃金改善(賃金カーブを維持した上での賃金改善:ベースアップ)で回答を引き出した組合は55組合で、昨年よりも6組合増加。このうち、2年連続達成が34組合、3年連続が26組合、4年連続が20組合となり、この4年間で1度でもベースアップ回答を引き出した組合数は87組合にのぼった。

サービス連合では2014年春闘から中期的賃金目標「35歳年収550万円」の実現に向け、年収改善、特に月例賃金の引き上げにこだわる闘争を進めてきた。説明した事務局長の千葉崇氏は、「4年間で6割近い組合がベースアップの回答を引き出し、歩みは年々前進している。ベースアップでなくても、賃金カーブの維持や定期昇給相当分の確保の回答を引き出せた組合があったことも成果の一つ。人への投資を軸に、粘り強い交渉を続けてきた結果」と、4年間の取り組みの成果を強調した。

賃金改善額も全体で6424円(改善率2.25%)で前年より41円増加。実質的な賃金改善額に限っても3192円(同1.08%)で前年より1317円増加するなど、上昇傾向にある。業種別では観光・航空貨物業がベースアップ額で前年よりも2289円多い3897円(1.23%)を実現するなど、上昇傾向にあるのに対し、ホテル・レジャー業は減少。ただし、ホテル・レジャー業は昨年、1000円以上の大幅アップを実現していた。

一方、一時金交渉では昨年とほぼ横ばいで、大きな改善にはつながらなかった。年間一時金は合意した組合数は33組合で前年よりも増加したものの、平均は3.15か月で前年よりも0.2カ月減少。夏期一時金の合意は94組合で5組合増加したものの、平均は1.66か月となり0.05か月減少した。

このほか、契約社員・パートタイマー等の待遇改善では、賃金改善で33組合、一時金で30組合が合意した。また、同時要求では総実労働時間の短縮で59組合が要求し、32組合が合意を引き出した。主な妥結結果は以下の通り。

会長の後藤常康氏は、記者会見の前に開催した第17回定期大会で「産業を持続的に成長さえるためには、人財の活躍とそれを可能にする環境整備が必要」と述べ、「人への投資」を軸にした賃金改善の取り組みを着実に進めていくことを呼びかけた。

【観光・航空貨物業】

  • 賃金改善額:23組合平均7460円(改善率2.41%) ※2016年:27組合平均6698円(2.21%)
  • 実質的な賃金改善額:13組合平均3897円(1.23%) ※同:15組合平均1668円(0.53%)
  • 年間一時金平均月数:13組合平均3.52か月 ※同:13組合平均3.70か月 
  • 夏期一時金平均月数:60組合平均1.75か月 ※同:57組合平均1.83か月

【ホテル・レジャー業】

  • 賃金改善額:9組合平均4788円(改善率:1.94%) ※同:17組合平均5701円(2.37%)
  • 実質的な賃金改善額:3組合平均997円(0.45%) ※同:11組合平均2547円(1.14%) 
  • 年間一時金平均月数:20組合平均2.91か月 ※12組合平均2.97か月
  • 夏期一時金平均月数:34組合平均1.36か月 ※同:32組合平均1.35か月

【全体】

  • 賃金改善額:32組合平均6424円(改善率:2.25%) ※同:44組合平均6383円(2.25%)
  • 実質的な賃金改善額:16組合平均3192円(1.08%) ※同:26組合平均1875円(0.64%)
  • 年間一時金平均月数:33組合平均3.15か月 ※同:25組合平均3.35か月
  • 夏期一時金平均月数:94組合平均1.61か月 ※同:89組合平均1.66か月

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