日本で人気の外航客船クイーン・エリザベス(QE)を運航するキュナード・ラインの英国本社から幹部が来日し、日本市場の展開を語った。
キュナード・ラインは日本を北米、豪州と並ぶ最重要市場に位置付け、強化しているところ。2017年、2018年にはワールドクルーズの途上で、神戸発着と大阪発着の日本発着クルーズを組み込み、2019年には日本市場をメインターゲットとする横浜発着クルーズを2本設定。2017年神戸発着の成功に続き、2018年大阪発着は半日で完売し、日本人約800名、外国人約1200名の満船だ。2019年の横浜発着クルーズも、既に8割の予約が入っているという。
同社シニア・バイス・プレジデントのサイモン・ペールソープ氏は、「日本発着クルーズが今後を左右する第一歩と位置付けている」と日本市場の重要性を強調。2020年までに、日本発着クルーズと地中海や北ヨーロッパ、大西洋横断などのフライ&クルーズをあわせて日本市場の取扱数を現在の3倍に拡大させることに自信を見せた。
キュナード・ラインでは2022年4月に、4番目の「女王」となる新造船(11万3000トン、乗客定員3000名)の就航を予定しており、既存のQE(9万トン、乗客定員、2081名)、クイーン・メリー2(QM2:5万1400トン、乗客定員2691名)、クイーン・ビクトリア(QV:9万トン、乗客定員2061名)とあわせ、収容客数が4割増加する。ペールソープ氏は新造船の就航に向け、2020年、2021年も「急成長をさらに高める年度になる」と期待を寄せる。
その根拠としてペールソープ氏は、横浜発着クルーズの予約状況を示し、「日本の高い需要に応えきれていない」と説明。UKセールス・インターナショナル・ディベロップメント・バイス・プレジデントのデイビット・ロウシャム氏は、日本市場の潜在性を踏まえ、本社のサポート体制を強化することを表明した。
ロウシャム氏は「日本人は弊社の伝統的なサービス形式を何よりも愛し、英国の歴史と遺産を尊重していただいている。これを変えるつもりはない」としながらも、「改善の余地はある」とも言及。幅広い日本人の客層に沿うよう、特に言語対応などコミュニケーションの部分で人材採用やトレーニングの投資を強める方針を説明した。このほか、ケータリングなども改善し、客層の幅を広げていく考えだ。
また、昨今の傾向として、クルーズ客のなかでも、特に富裕層を中心にパーソナルな対応を望む傾向が強まっているという。トレーニングでは、個々の乗客の要望への対応を踏まえた強化を行なう方針だ。
なお、キュナード・ラインでは2019年、クイーン・エリザベスでアラスカ・クルーズを運航することを発表。横浜発着クルーズ後にバンクーバーへ移動し、10泊のクルーズを計4本運航。日本人にも人気のアラスカ・クルーズであることや、現役のキュナードの船では初のアラスカ配船となる話題性とあわせ、日本からの集客にも期待を示した。