クレジットカードのVISAはこのほど、電子決済利用の調査をおこなった。それによると、カード決済やモバイル決済を使うことによる純便益(利益や効果を数値化したものから費用を減じた結果)は100都市合計で年間最大4700億米ドル(約51兆7000億円)に至る予測となった。この数字は、各都市の平均 GDP の 3%に相当するという。
今回の調査は、東京や大阪を含む世界100都市を対象に、消費者、事業者、政府の3グループについてキャッシュレス化によりもたらされる便益について分析したもの。
具体的には、消費者が得る純便益は、100都市合計で年間約280億ドル(約3兆800億円)。これは、銀行業や小売業、運送業に関する業務時間が最大32億時間短縮されるほか、現金にまつわる犯罪の減少によりもたらされる効果だ。
一方、事業者が得る純便益は年間約3120億ドル(約34兆3200億円)。決済の入・送金の処理時間が最大31億時間短縮されると同時に、オンラインと実店舗における顧客層の拡大がもたらす売上増が見込まれる。
さらに政府においては、直接的な純便益が年間約1300億ドル(約14兆3000億円)に至るとの推計に。要因としては、税収の増加や経済成長の促進、管理コストの減少、現金にまつわる犯罪の減少にともなう司法費用の低減などが挙げられるとしている。
なお、VISAではキャッシュレス社会となることでもたらされる便益について、都市別の試算内訳を示す詳細レポート「キャッシュレスシティ」に加え、都市別にデータを視覚化して確認できるシミュレーションツール「キャッシュレスシティ:インタラクティブエクスペリエンス」を提供。例えば東京でキャッシュレス率が9割に至った場合、消費者と事業者を政府の合計で約455億ドル(約5兆円)の便益がもたらされるとの試算結果がわかる。
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Cashless Cities(英語)