日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長が2018年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
田川会長は、2018年を「変革時代の幕開け」と表現。2019年に控える国際観光旅客税の導入やてるみくらぶ事件を受けた旅行業界の信頼回復への取り組みなど、各種対応を確実に実施。きたる大きな変化の潮流に備えていきたいとの想いを述べている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2018年 年頭所感
2017年を振り返ると海外旅行は様々な事件やリスクにもかかわらず伸び1800万人前後となり、国内旅行も回復傾向に入ってきた。インバウンドは3000万人に迫る勢いで、全般に新年に続く明るい兆しが見えてきた。
2018年を漢字一文字で表せば「備」(備える)となる。我々はかつての旅行業法改正に匹敵する「変革の時代の幕開け」を迎える。これは今後日本のツーリズム産業が責任を持って持続可能な発展をするための変革であり、旅行業界もしっかりと対応したい。
まず何より2019年から導入予定の「国際観光旅客税」である。双方向交流をキーとした「交流大国こそ観光先進国」であるとの観点で海外旅行の促進策や次世代の観光立国を実現させるための政策提言をしていきたい。
二つ目はてるみくらぶ事件の再発防止を目指すガバナンスの強化策や弁済制度の改正である。事後処理より事前防止に重点を置き、業界の信頼回復を図りたい。
三つ目はランドオペレーターの登録制度や通訳案内士の制度改定である。いずれもJATAがこれまで要望してきたことで、我々が運用している品質認証制度と合わせてインバウンドビジネスを質量両面で充実させる改革である。
市況は堅調とはいえ、市場は成熟化し、販売チャネルも多様化が進んでいる。このような変化する環境に対し、海外旅行は2年目を迎えるアウトバウンド促進協議会の活動を進めたい。国内旅行は訪日旅行と関連させて、地域の観光資源の磨き上げやDMOなど受け入れ態勢へ参加など、旅行会社ならでの価値つくりを進めたい。
ツーリズムEXPOジャパンは観光を取り巻く時代の変化や観光の裾野の広がりを見える化した「観光博覧会」になりつつある。世界最大級の展示商談会を核とするBtoBの完成を行い、地方開催につなげる年とする。2019ラグビーW杯、2020年東京オリパラ、2021年ワールドマスターズゲームと続くスポーツのゴールデンイヤーを控え、「スポーツツーリズム」のカタチも見せたい。
2019年からの大きな変化の潮流に備え、「攻めのデイフェンス」をする。それが2018年である。国内、海外、訪日の3つを三位一体で展開できるJATAに期待されることは大きい。その期待にこたえる年としたい。
一般社団法人 日本旅行業協会
会長 田川博己