ドイツ拠点の大手旅行会社TUIグループは2018年3月末、世界的な旅行卸企業のホテルベッズ・グループからデスティネーション・マネジメント事業を買収した。買収額は1億1000万ユーロ(約143億円)。今後は「TUIデスティネーション・サービス」として継続する。
TUIグループでは、2018年第一四半期決算で、ホテル、クルーズ部門と並び、タビナカ需要を扱うTUIデスティネーション・サービス事業を戦略分野と位置づけ、強化していく方針を明らかにしていた。
ホテルベッズは、2016年に英投資会社シンベンとCPPIB(カナダ年金基金運用公社)からの出資を受けて、TUIグループから独立した経緯がある。TUIでは、いったん手放したホテルベッズから、デスティネーション・マネジメント事業を買い戻した理由について、「世界的に成長拡大が見込める分野であり、ポテンシャルが大きい」(Fritz Joussen最高経営責任者)と説明している。
デスティネーション・マネジメント事業の柱は3分野。欧州からアジア太平洋まで、世界70か国でB2Bのランドオペレーションを手掛けるほか、クルーズ販売、香港やシンガポールを中心に展開するMICE事業「パシフィックワールド」がある。
TUIによると、現地で観光ツアーやアクティビティを提供する同社のデスティネーション・サービス事業の市場規模は、現在、世界全体で推定1400億ユーロ(約18兆2000億円)。年率7%で成長している分野という。一方、旅行者の求める内容が多様化するのに伴い、サプライヤーは中小に細分化する傾向にあり、デジタル対応などが遅れている面も。TUIでは、自社の強みであるITとCRMシステムを武器に、この分野における「種類の豊富さ、エクスクルーシブ、品質」において世界トップを目指す考え。