帝国データバンクは2016年度の「ホテル・旅館経営業者の実態調査」を発表した。対象は、同社のデータベースに収録するホテル・旅館経営の7915社。
これによると、対象企業の2016年度の収入額合計は、前年比2.1%増の4兆9012億2500万円。過去10年の推移でみると、2007年度以降は減少傾向にあったが、2012年度以降は5年連続で前年を上回る推移が続き、2016年度は過去10年の最高値となった。訪日外国人と日本人の国内旅行者数の増加を受け、全国のホテルや旅館は高い稼働率で推移し、需要を取り込んでいるようだ。
ただし、年商規模別で増収企業の割合を見ると、二極化が見られる。「100億円以上」が62.1%と最も高く、「50億~100億円未満」が58.1%で続く。一方、「1億円未満」では14.6%となり、年商規模が大きいほど増収企業の割合が高い結果となった。施設数や収容客数の多い大手宿泊施設の売上は拡大したが、収容客数が限られる小規模施設は伸び悩んでいる状況だ。
地域別で見ると、東京都のある「南関東」と大阪府を含む「近畿」、さらに「北海道」「四国」で、増収した企業の構成比が減収を大きく上回った。特にインバウンド消費の伸び率が高い「近畿」は、増収企業の割合が33.1%となり、地域別の中で最高に。減収企業が多かった地域は「東北」(28.4%)と、北陸新幹線開業効果の反動のあった「北陸」(32.3%)だった。
また、業歴別でみても、増収企業の分布に傾向が見られた。増収企業の割合が最も高ったのは「10年未満」(38.2%)、減収企業の割合が最も高いのは「100年以上」(27.5%)となった。これは、業歴が長くなるにつれ事業が多角化されるケースが多く、飲食や催事など宿泊以外の分野の業績が落ち込んだ企業が減収になる傾向が顕著だという。