経済産業省が発表した日本の電子商取引(EC)市場調査によると、2017年の国内消費者向けEC取引(BtoC-EC)の市場規模は前年比9.1%増の16.5兆円に成長。企業間EC取引(BtoB-EC)は9.0%増の317.2兆円となった。
また、すべての商取引に対するEC市場の割合を示す「EC化率」はBtoC-ECで前年比0.36ポイント増の5.79%。BtoB-ECは1.3ポイント増の29.6%。
旅行関連のEC取引は3.4兆円に拡大、国内外OTAがけん引
分野別では、物販系が7.5%増の8兆6008億円、サービス分野が11.3%増の5兆9568億円、デジタル分野が9.5%増の1兆9478億円。サービス分野では、旅行関連が11.0%増の3兆3742億円。飲食サービスは36.8%増の4502億円となり、旅行に比較すると規模は小さいながら、昨年に続いて大幅増を記録した。
経産省では旅行サービスについて、インターネット施業の旅行代理店(OTA)が市場をけん引していると分析。2017年はKDDIによるOTAへの新規参入や、海外大手OTAが攻勢をかけている状況も踏まえ、業界全体としては引き続き競争が激化しつつ、規模を拡大していくと考察している。
また、物販分野におけるスマホ経由のBtoC EC取引は、前年比17.7%増の3兆90億円。これは物販市場全体(8兆6008億円)の35%を占める結果となっている。
なお、経産省では今回の調査発表にあたり、トピックスとして「ECにおけるAI(人工知能)の活用シーン」を分析している。
ここでは、出品(取扱商品の発注や商品リストの作成など)から始まり、潜在顧客の誘導(広告やSNSとの連携、ECサイト外の潜在顧客へのアプローチ)、顧客対応(顧客別の商品レコメンデーション、カスタマーサポート)、受注(商品の注文)、物流(倉庫内物流・顧客への配送)、アフターサービス(顧客からの問い合わせ対応)に至るまでのシーン別にAIの活用範囲を解説。今後、EC市場においてAIが活躍する場面がますます多様化・深化していく一方、企業側には人間とAIの協働方針を含め、明確なビジョンが必要になると結論している。
この調査は、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」としてとりまとめられたもの。各種メディアや政府の統計報告書、調査レポートなどの公知情報と事業者へのヒアリングを経て分析された。報告書全文は以下から入手できる。