今年、日本各地で発生した自然災害。好調を続けてきた日本のインバウンド市場にも影響が出始めている。大阪北部地震や平成30年7月豪雨の発生後、訪日韓国人旅行者は2年ぶりに前年比マイナスに(7、8月)。9月には台風や北海道地震の発生しており、さらなる影響を受ける可能性がある。こうした状況下で開幕したツーリズムEXPO2018は、旅行業界関係者が一丸となって被災地の観光復興への決意を示し、また観光が果たす地域への役割を考える場となっている。
開幕式に来賓として登壇した国交省の石井啓一大臣は、観光客の減少や風評被害を防ぐために「国として正確な情報発信をし、観光需要の回復に尽力したい」と力を込めた。
開幕式後には、日本政府観光局(JNTO)と日本旅行業協会(JATA)、韓国旅行業協会(KATA)が、日韓双方の観光交流促進のため共同緊急アピールを実施。インバウンドで大きな市場となる韓国からの観光客減少や風評被害を防ぐ。また、日本からの送客も強化する協力体制を組むことで、2018年の両国の相互交流人口1000万人を目指す考えだ。
具体的には、日韓の旅行業界関係者が連携し、被災地の状況について、正確な情報を発信・収集する協力を行う。また、両国の旅行商品の販売促進で、JNTOと韓国の旅行会社、航空会社との共同広告などを実施する。
観光庁の田端浩長官は、昨今の災害にかかわる観光復興への取り組みで、関空の復旧を一例に「(観光地の復興を)国を挙げて進めている」と力をこめ、今後も対策をとっていく姿勢を示した。
JATAの田川博己会長は、「災害からの復興は観光の大きな役割」と話し、旅行業界ですでにアクションが始まっていることを明らかにした。10月には、大手・中小を問わず旅行各社が日本各地の被災地を目的地とした国内外向け旅行商品づくり進めているという。時間を経過して風評被害が広がる前に、できるだけ早い展開をしていきたい考えだ。
世界12か国から観光大臣が集結した大臣会合では、日本の災害についても話題に。モデレーターを務めたキャシェイ・コンサルティング代表のアニータ・メンディラッタ氏は、自然災害などの危機から復興するためのメカニズムとして観光の可能性と観光が果たす役割について問題を提起した。
ツーリズムEXPO2018の会期は23日まで。同時開催されているインバウンド商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート(VJTM)」とあわせ、国内外への有益な情報発信・収集の場としたい。