日本政策投資銀行(DBJ)と公益財団法人日本交通公社(JTBF)はこのほど、2018年度版の「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」を発表した。韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスの12地域を対象に調査したもの。
アジアの人気海外旅行先トップは今年も「日本」、アジアと欧米豪では「体験したいこと」に違いも
2018年7月の調査によると、アジア8地域で選んだ「海外旅行したい国」は7年連続で日本が1位。訪日旅行の満足度は「満足(“とても満足”と”満足”の合計)」との回答が86%、日本への再訪意向も54%と過半数を超えた(再訪したいと”大変思う”と”思う”の合計)。
また、訪日旅行での興味関心をみると、日本の「自然」「食」「歴史・文化」「四季」に関する興味はアジアと欧米豪共通で高い一方で、地域によって異なる傾向も。アジアでは訪日旅行で体験したいことのトップが「桜の鑑賞」(59%)となったほか、「温泉への入浴」(51%)、「雪景色鑑賞」(51%)が含まれているが、欧米豪での1位は「日本庭園の見物」(62%)。また、アジアでは上位とならなかった「有名な史跡や歴史的な建築物の見物」(55%)、「世界遺産の見物」(51%)が上位にランクインした。
アジアは日本版IRへの関心が高め、欧米豪は「関心がない」が最多
IR(日本版統合型リゾート)への関心では、全体の約6割が「行ってみたい("ぜひ行きたい”と”機会があれば行ってみたい”の合計)」と回答。その割合が最も多いのはタイで、次いで中国、インドネシア、マレーシアと続く。その一方、米国や英国、フランス、豪州では「関心はない」との回答が最多となり、二極化の様子がうかがえた。
リピーターに好まれる地方観光地に「日光」「軽井沢」など
また、同調査では、訪日経験者の割合が8割を超える台湾と香港について、リピーターが行きたい地域を抽出。その結果、日光、軽井沢、金沢、立山/黒部、飛騨/高山、四国などが特にリピーターに人気となっていることが判明した。
この結果を受け同調査は、地方へのインバウンド誘客には、(1)広域周遊ルートの設定とプロモーション、(2)二次交通によるアクセスの改善がカギになっていると分析している。
この調査は、アジアと欧米豪12地域を対象に例年まとめているもの。今回は西日本豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震など、2018年7月以降に発生した災害に関する意識調査が追加されている。
調査対象は20歳から59歳までの男女のうちアジア・欧米豪12地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)に住む海外旅行経験者を対象に実施したもの。災害に関する調査は2018年10月5日から19日まで実施。有効回答者数はこれら地域に住む6286名。中国は北京および上海在住者が対象。