日本政策投資銀行(DBJ)と公益法人日本交通公社(JTBF)はこのほど、「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2018年版)」を発表した。アジアと欧米豪12地域を対象に例年まとめているもので、今回は西日本豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震など、2018年7月以降に発生した災害に関する意識調査が追加されている。
約半数が「日本は自然災害が多い」と認識、「災害時の外国人への対応」は低評価
それによると、調査対象地域の約半数(47%)の人が「日本は自然災害が多い」と認識。約7割が直近の災害についても認知していることが分かった。また、日本は「自然災害からの復旧が早い」(44%)、「旅行先として安全」(44%)など、日本が災害から復興していく過程も広く知られているという結果も。特にアジア圏では、約半数が災害の多さと復旧の早さを把握。安全については、欧米豪を含めたすべての地域で4割以上の認知が確認された。
その一方で、「自然災害時の外国人への対応が進んでいる」との回答は26%にとどまる。特に欧米豪(14%)では評価が低く、今後、防災環境の整備が求めらる状況が明らかになった。
訪日旅行の不安材料トップに「地震」、災害後は西洋式ホテルが人気に
また、各国からの訪日意向を災害発生前後で比較すると、災害発生前と大きく変わらず、全体で日本は「今後、海外旅行したい国・地域」の一位。長期的にみると、災害後も訪日意欲は衰えていないことが明らかになっている。
ただし、訪日旅行時の不安材料は、2015年以来ずっと1位だった「言葉」の問題を超え、2012年の調査開始以降はじめて「地震」がトップに。3位は「滞在費」、4位は「渡航費」。
訪日希望者に対する宿泊施設や旅行形態についての質問では、災害後、航空券と宿泊を個人で個別手配するFIT旅行の利用意向が低下し、全体で5ポイント減の30%に。特に欧米豪では12ポイント減少しているのが特徴的だ。半面、ガイド付きパック旅行の人気は総じて上昇しており、全体で3ポイント増、欧米豪では9ポイント増。宿泊施設では、日本旅館の利用意向は7ポイント減の63%と低下、それに対して、豪華で快適な西洋式ホテルの人気がやや上昇し、2ポイント増の41%となった。
この調査は、20歳から59歳までの男女のうちアジア・欧米豪12地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)に住む海外旅行経験者を対象に実施したもの。災害に関する調査は2018年10月5日から19日まで実施。有効回答者数はこれら地域に住む6286名。中国は北京および上海在住者が対象。