中国人旅行者が次に注目する旅先は? 航空座席数はベトナム3割増、カンボジア4割増と急拡大 - OAGレポート

世界の観光地を席捲する中国発の旅行需要だが、航空関連データを提供するOAGがこのほど発表した航空需要レポートでは、今後、中国人旅行者が最も増えるデスティネーションとして、ベトナムとカンボジアに注目している。2000年代以降、中国市場が急拡大したデスティネーションといえばタイが代表的だが、さらに近隣のインドシナ諸国へ、需要が広がりつつあると指摘している。

OAG調べによると、中国/タイ間における航空供給座席数は、2000年の360万席から2018年には2700万席に拡大。年率29%増ペースでの急拡大を示したが、ベトナムとカンボジアでも、過去5年間の中国路線供給数がそれぞれ年率30%増、40%増となっている。

中国/ベトナム線の供給座席数は、5年前は160万席以下だったが、2018年には590万席に達した。このうち2018年に増設されたのは75万席で、57%は中国系航空会社によるもの。ベトナム人旅行者にとっても、中国は韓国に次ぐ海外渡航先となっている。

カンボジア/中国路線の供給座席も、2018年までに、同じく75万席から400万席に増えた。

中国路線供給数の推移:OAG 報道資料より

「東高西低」の偏りも

一方、中国国内で稼働している空港は、2018年11月時点で国内線が226か所となり、前年より5か所増えた。このうち73空港は、国際線も乗り入れているが、国際線の88%は、国内主要20空港に集中している。今年11月時点での供給航空座席数は、前年同月比で11.2%増。年間の総供給数は8億7800万席。

前年同月と比べて、国際線の供給座席数が最も増えた空港トップ3は、1位が広州白云国際空港。続いて上海浦東国際空港、深圳宝安国際空港。一方、主要20空港の中で唯一、厦門高崎国際空港だけは国際線供給数がマイナスとなった。

国内線の供給座席数は前年比10.1%増だったが、その内訳には地域的な偏りがある。定期便が運航している2都市間路線では、計1380路線で供給が増える一方、641路線では供給規模がむしろ縮小。また供給数が最も拡大した上位15路線は、主に中国の東側や沿岸都市となる一方、縮小数が多かった路線は、西側の内陸部路線に多く見られた。

供給数が最も増えた路線のトップ3は、1位が上海/深圳線で、2018年の座席数は前年比68万5000席増。続いて広州/上海線(65万席増)、3位が重慶/深圳線。

逆に、供給が最も減少した路線は成都/西安で、120万席から24万5000席に縮小。マイナス幅は80%減となった。両都市間を3時間強で結ぶ高速鉄道が開通したことが影響した。

路線開設ルール見直しで競争促進

また、中国政府がこれまで掲げてきた長距離路線における「ワン・ルート、ワン・エアライン」方針が改定されたことで、今後、国際線の拡大と競争の促進が期待されている。同方針が撤廃されるのは、5000km以上の長距離国際線で、すでに週14便以上が運航しており、中国系キャリアのシェアが70%以下の路線。同条件に該当するルートは現在、計37路線あり、中国側の発着空港は北京(18路線)、上海(16路線)、広州(3路線)。目的地では欧州が最多で15都市、北米が13都市となっている。

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