サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2019年度の重点政策を策定し、与野党や観光庁長官をはじめとする各省庁、日本旅行業協会(JATA)や全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)などの関係団体に、政策要請を行なった。
政党では自由民主党・幹事長代理の林幹夫氏(観光立国調査会会長)を訪問したのをはじめ、立憲民主党や国民民主党でも政策要請と意見交換を実施した。観光庁以外の省庁では、衆議院議員・古川元久氏の同行のもと、厚生労働省や環境省、法務省・出入国在留管理庁、財務省・関税局を訪問。関係団体では、JATAや全旅連以外にも、全国旅行業協会(ANTA)や日本旅館協会など、計6団体で政策要請と意見交換を行なった。
サービス連合の重点政策は、加盟組合が所属する観光ホスピタリティ業と国際航空貨物業やその関連産業が持続可能な産業となるべく、働く者の立場から要請するもの。メディア向けの説明会で、サービス連合会長の後藤常康氏は、人口減少下でAIやビッグデータなど人の代替となるテクノロジー活用が進むなかでも、「最終的には人が必要な部分がたくさん出てくる」と、この産業における労働者の重要性を強調。「環境変化を的確にとらえながら、労働集約型産業であるこの産業を持続可能な発展をする魅力的な産業とし、ここで働く環境を自分たちで作っていく思いで取り組んでいる」と、政策要請の趣旨を説明した。
3年目となる今年度の重点政策は、政府の骨太の方針や予算要求に反映させるために、これまでサービス連合が出してきた提言から、緊急性や継続して取り組む必要性を考慮して抽出。昨年からの4項目「地球温暖化に対する取り組み」「外国人労働者の受け入れ」「災害時の訪日外国人旅行者への対応」「若者の海外旅行の機会創出」に加え、新たに3項目「主要空港におけるBCPの策定について」「公正な取引の推進」「オーバーツーリズムへの対応」を盛り込んだ。
このうち、「公正な取引の推進」では、優位な地域の濫用行為の是正や法令順守の徹底とともに、通報者への報復行為等が行なわれないよう、関係省庁による監督の強化を要望。異業種や越境で、多様な業態での参入が増えているなかで、立替を前提とした取引きや不当な価格設定の押し付けなど、公正な取引が重要だと感じられる事例が増えており、課題として認識しているという。
また、「主要空港におけるBCPの策定について」は、昨年の関空で発生した台風による高潮被害等を踏まえ、昨年秋に実施した自然災害への対応に関する緊急要請に引き続き、設定したもの。今後も自然災害の発生が想定される中、旅客や労働者の安全、航空物流インフラの維持のためのあらゆる事態を想定したBCPの運用が必要とし、新たなBCPに基づく事業者間の連携や訓練の実効性の国による確認、または国による実施などを求めた。