ANAホールディングスが発表した2020年3月期第2四半期の連結決算によると、売上高は1.7%増の1兆559億円、営業利益は25.0%減の788億円、経常利益は20.8%減の815億円、四半期純利益は23.0%減の567億円で、増収減益となった。前年同期も増収減益で、利益の2割減も2期連続のこと。
今年は国際線貨物で減収になったものの、ゴールデンウィーク10連休での旅客需要の取り込みに加え、航空関連、旅行、商社をはじめとする全セグメントで増収となり、売上高は過去最高を記録。ただし、安全・品質サービスの向上や、来年の首都圏空港の発着枠拡大に備えた人件費、機材費、整備費用が増加したことで、利益が減少したとしている。
国際線:ビジネス需要は弱含み、ハワイ線・欧州線の旅客数増加が増収に寄与
国際線旅客はビジネス需要が弱含みで推移したが、路線拡大に伴うハワイ線、欧州線の旅客数が増加し、増収となった。7月には成田/ホノルル線でエアバスA380の「FLYING HONU」の運行を、週3便から週10便に拡大。9月には日本/豪州西部唯一の直行便である成田/パース線も新規開設した。
国際線の旅客収入は2.3%増の3385億円、旅客数は前年同の517万2000人。供給を示す座席キロは4.7%増加し、需要を示す旅客キロも3.9%増となった。利用率は0.6ポイント減の76.8%だった。
国内線:ビジネス・レジャーとも好調、需要に応じた割引運賃施策も成功
国内線旅客は好調なビジネス需要と訪日旅客に加え、ゴールデンウィーク10連休の需要の取り込みに成功。需要に応じた各種割引運賃も設定し、収入・旅客数ともに前年を上回った。特にゴールデンウィークや夏休み期間の需要には、搭乗の355日前から購入可能な割引運賃「SUPER VALUE EARLY」などで、早期需要の取り組みを行なった。
旅客需要の取り込みの一方で、9月には隈研吾氏の監修による那覇空港のラウンジリニューアルや、佐賀空港での初のリモコン式遠隔操作による航空機けん引の実用化など、サービス品質とイノベーションの向上にも取り組んだ。
国内線の旅客収入は4.7%増の3687億円、旅客数は3.4%増の2310万2000人。供給を示す座席キロは3.0%増に対し、需要を示す旅客キロは3.8%増となり、利用率は0.6ポイント増の70.4%だった。
LCC:ピーチとバニラの統合準備などで減収減益
LCC事業、ピーチ・アビエーションとバニラエアの統合に向けた期待改修や運航乗務員の訓練等により、一時的に運航便数を減少。そのため、旅客数、収入ともに減少となった。ネットワークでは、4月からピーチ・アビエーションが新千歳/ソウル(仁川)線を就航。また、バニラエアからピーチ・アビエーションへの路線移管も実施した。統合に向けては営業面で、ピーチ・アビエーションとバニラエア両社で合同セールや限定グッズプレゼントなどの様々な施策を行なった。
LCCの旅客収入は前年比4.6%減の461億円、旅客数は1.8%減の399万5000人。供給を示す座席キロは2.4%減、需要を示す旅客キロは2.6%減で、利用率は0.3ポイント減の86.9%だった。